企業型確定拠出年金制度(DC)は前払い?積立て?どっちがいいの??

2019.05.06 (更新日:2019.05.06)
私は日本全国でセミナーをしていますが、セミナー受講生の方から個別でご相談を受けることも多くあります。ご相談の内容は多岐にわたりますが、勤務先の退職金制度、特に企業型確定拠出年金制度(DC)についての相談をいただくことは珍しくありません。ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、企業型確定拠出年金をテーマに、前払いでもらうべきか?積立てるべきか?について解説します。
■前払い?積立て?私はどうするべき??
現在の勤務先で企業型確定拠出年金制度(DC)が導入されたとします。企業型確定拠出年金制度(DC)は、企業が従業員のために拠出する分をDCに回して運用することもできますし、給与に上乗せで受け取る(前払い退職金と言います)こともできます。※但し、選択できるかは企業によって異なります。
皆さんの勤務先が上記のように前払い退職金も選択できるとすると、どちらを選択されますでしょうか?
会社からの拠出分を給与として受け取るべきなのか?DCに回すべきなのか?頭を悩ます方も多いと思います。では、それぞれのメリットについてみてみましょう。
■前払い退職金のメリットとは?
仮に前払い退職金を選択した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
単純に会社からの拠出分が上乗せされた分、毎月の給与額が増えますね。毎月の収入が増えるわけですから、とても嬉しいですよね。ところが、単純に収入が増えるからと言って喜んでばかりはいられません。収入が増えた分、支出に回してしまう可能性もあるためです。意味のある支出であればもちろん構いませんが、無駄な支出になる可能性もありますよね。通常の給与に上乗せされるにしても、前払い退職金が「退職金である」ことを考慮すると、現職時に使ってしまうのは問題がありそうですよね。
では、使わずに貯蓄しておけば良いのかというと、どうなのでしょうか?
しっかり老後のために貯蓄するとしても、効率性の観点から注意が必要です。というのは、仮に前払い退職金として給与に10,000円が上乗せされたとしても、皆さんの手取り額が10,000円増えるわけではありません。
前払い退職金として受け取った10,000円に対しても、社会保険料や所得税、住民税が掛かってきます。所得税は所得に連動して税率が変わるため一概には言えませんが、税金や社会保険料で30%程度控除されるのは決して珍しくありません。結果、「前払い退職金を10,000円受け取ったはずだけど、手取り時は7,000円程度になってしまった…」ということが起こるわけですね。これは、額面給与と手取り給与が一致しないことを想像するとわかりますよね。
■DCにした場合のメリットとは?
さて、前払い退職金として受け取らずに、DCの積み立てに回した場合はどうなるのでしょうか?
仮に前述のケースで10,000円をDCに回した場合、10,000円がそのまま貯蓄に回ることになります。DCに回した場合、原則60歳まで引き出しができないので、流動性はもちろん劣ります。しかしながら、10,000円全額が貯蓄に回るので効果的ということです。
ある種前払い退職金と比較すると、3,000円ほど積立額が多くなるということです。退職金という長期間の運用になることを考えると、両者にはとても大きな差が出ます。
仮に退職まで30年間あった場合にどうなるのか、前述のケースで比較してみましょう。
【前払い退職金の場合】
7,000円×12か月×30年⇒2,520,000円
【DCで積み立てした場合】
10,000円×12か月×30年⇒3,600,000円
「退職金」という性質から考えるのであれば、やはりDCを活用する方がより効率的であることがわかります。
また、仮に受け取った前払い退職金を、ご自身で運用した場合はどうでしょうか?
手元に残った7,000円/月を30年間積み立てしたとして、360万円にするには約2.3%の運用益が必要です。つまり2.3%未満の運用となった場合は、360万円に達しないということですね。
ちなみに、10,000円/月を2.3%で30年運用した場合は約517万円となります。こうしたことから、退職金(=老後の資産)作りという意味では、DCで運用することがとても有効なことがわかりますね!
いかがでしたでしょうか?企業型確定拠出年金制度(DC)は、導入している企業ごとに細かい規則が異なります。そのため、実際の制度概要をいただかないと、どのような選択をとるべきなのか?は一概には答えるのが難しいです。ご不安な方は、一度勤務先のDC制度の内容が確認できる資料を持って、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみることをおすすめします。
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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