パートの106万円の壁。1回でも週20時間以上働いたら社会保険に加入?

2017.12.29
家事や子育てをしながら、パートで家計を支えているという方・・・多くいらっしゃいますよね。そんな方々の関心事の1つといえば、扶養の範囲でいられるかどうかではないでしょうか?2016年10月に「106万円の壁」ができたことにより、社会保険の加入条件が変わりました。社会保険に加入したほうが良いと思う反面、手取り収入が減ってしまうのは困るとお考えの方も少なくありません。ファイナンシャルプランナーの大坪美樹(所属:ブロードマインド株しい会社)が、「パート×社会保険」に関するコラムをお送りいたします。
■パートの社会保険。まずは加入条件をおさらいしよう!
ご存知の方も多いかと思いますが、パートやアルバイトとして勤務していても、一定の条件を満たすと社会保険への加入が必須となります。(ただし、お勤め先が個人事業所の場合は、一部条件・業種を除きます)。
では、社会保険の加入条件について詳しくみていきましょう。まず、1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、同じ事業主で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上である方は、社会保険の加入対象となります。ただし、正社員の4分の3未満であっても、以下5つの要件を全て満たす方は加入対象となります。これがいわゆる「106万円の壁」と言われているものですね。
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①週の所定労働時間が20時間以上
②勤務期間が1年以上見込まれること
③月額賃金が8.8万円以上
④学生以外
⑤従業員501人以上の企業に勤務していること
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■1回でも週20時間以上働いたら、社会保険の加入対象になるの?
では、上記②~⑤の要件を全て満たし、かつ1回でも週20時間以上働いたら、その後は社会保険の加入対象になるのでしょうか?
答えは、NO。必ずそうなるとは限りません。たとえば、お勤め先の繁忙期により当月は週20時間を超えたとしても、翌月に勤務時間が週20時間以上にならなければ、社会保険への加入が必須とならない可能性もあります。ただし、勤務時間が常に週20時間以上になるようであれば加入が必須となる可能性が高くなりますので、事前に確認されることをオススメいたします。
■社会保険に加入したら、手取り収入はどれくらい変わる?
さて、社会保険に加入したら、手取り収入がどれくらい変わるのかみていきましょう。
まず、健康保険の料率として9.91%(全国健康保険協会 東京都の料率の場合 )、また厚生年金の料率を18.3%と仮定した場合、計28.21%が社会保険料として必要となります。ただし、このうちの半分はお勤め先の負担となるため、ご自身の負担としては14.1%程度となります。
では、社会保険に加入し、月10万円収入を得た場合を考えてみましょう。この場合、10万円×14.1%=14,100円が社会保険料として差し引かれるため、10万円-14,100円=85,900円が手取り金額の目安となります。
なお、健康保険の加入先や事業所の所在地、年収など、さまざまな条件によっても異なります。
■社会保険に加入するとこんなメリットがある!
社会保険に加入すると手取り収入は減ってしまいますが、もちろんメリットもあります。
まず、厚生年金へ加入することにより、老後に受け取ることのできる年金額が増えます。年々、老後に国からもらえる年金額が減っている一方で、日本人の平均寿命は延びつつあります。特に、日本人の女性は長生きする傾向にあり、今後は90歳を迎える女性が半数近くいるといわれております。仮に、65歳で退職し、年金を受け取り始め、90歳まで生きるとすると25年間ですよね。厚生年金に加入しておくことでその分受け取れる年金額を増やすことができ、かつ、この間ずっとその金額のまま年金を受け取ることができるため、払った社会保険料以上に大きな金額になることも。
また、女性の方には嬉しい出産手当金も健康保険から支給されます。産前6週間・産後8週間の計14週間受け取ることができます。気になる出産手当金の金額はというと、1日あたりの支給金額は、【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)にて算出されます。仮に、標準報酬月額が10万円の場合、1ヵ月あたり約66,000円を受け取れることになります。こちらを合計3.5ヵ月受け取ることができると思うと、なかなか大きな金額ですよね。
なお、上記2点以外に、傷病手当金も受け取ることができます。傷病手当金とは、病気やケガが原因で4日以上仕事に就けなかった場合に受け取ることができるお金になります。
このように、社会保険に加入することで目の前の手取り収入は減りますが、もしものときに自身を守ってくれる保障をもつことができます。ずっと健康で、生涯現役で働き続けることができれば良いのですが、やはりなかなか難しいですよね。
また、仮に健康で長く働き続けることができたとしても、社会保険に加入しておけば老後の支えとなる年金を多く受け取ることができますから、将来への貯蓄として考えるというのも1つの考え方かと思います。
いかがでしたでしょうか?ご自身の生活を守るためにも、またご家族や周りの大切な方々に経済面で負担をかけないようにするためにも、ご主人の扶養の範囲にあまり捉われずに働くことを検討されてみてはいかがでしょうか。
ブロードマインド株式会社
執筆者:大坪 美樹
大学時代に苦学生の経験をし、その後FPの道へ!「お金のことをわかりやすく」をモットーに日々活動しています。

■保有資格
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士

■得意分野
保険全般、ライフプラン、家計管理

■実績
マネーセミナー:年間50回以上開催
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