親の死亡時にも銀行から引き出し可能に?相続税法改正について学ぼう!

2019.09.06 (更新日:2019.09.06)
今年、相続税法が改正されたのはご存知でしょうか?「相続と言われてもよくわからないし、何をすればいいのかわからない…」と考えている方も多いかと思います。しかし、事前に知っておくことで万が一の時に、経済的な負担を減らすこともできます。今回は、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、相続税法の改正について解説します。
■改正前の相続について
相続と言われてピンとこない方でも、実際に親が亡くなってしまった際、親名義の銀行口座が利用できないとしたらどうでしょうか?基本的に親が亡くなった場合、その名義の口座は利用できなくなります。窓口はもちろんATMからの引き出しもできません。いわゆる、「口座が凍結される」状態になります。
電気やガス、水道の光熱費や通信費などの定期的な引き落としの際にも困りますし、葬儀代や病院や介護施設への支払いといった、まとまったお金を引き出すこともできません。
口座が利用できるようになるのは、原則遺産分割(誰が・何を・いくら相続するのか?を決定する)手続きが終わった後になります。銀行からすると、銀行口座に入っているお金を相続する人が決まっていない中で、支払っていいのか判断ができないということです。
■改正のポイントについて学ぼう!
まず、親が病気になったの時の病院や介護施設への支払いをイメージしてみましょう。親の口座から現金が引き出せないからと言って、病院や介護施設への支払いを待ってもらうというのは現実的ではありませんよね。この場合、子供がいったん立替えることになるかと思いますが、金額が大きいと立替えするのも大変ですよね。
こうしたことから、相続税法が改正され、親の死亡後も一定額まで親名義の口座から現金を引き出しすることが可能となりました。この引き出しを仮払いと言います。
①仮払いについて
それでは、実際に引き出しができる条件について確認していきましょう。
【条件】
・口座残高の3分の1×法定相続分
・上限150万円
口座に入っている全額をその方が相続するわけではないので、引き出しができるのはあくまでも法定相続分だけとなります。その法定相続分の3分の1までで、上限額が150万円までということです。
たとえば、3,000万円の預金があって、相続人が妻と子2人だったとします。この場合の法定相続分は、妻が2分の1、子がそれぞれ4分の1となります。
したがって、子供が引き出しできるのは、3,000万円×1/3×1/4→250万円
上限額150万円を超えるので、150万円が仮払いできる金額ということですね。
それでは、被相続人となる親が複数の金融機関に口座を保有している場合は、どうなるのでしょうか?
答えは、それぞれの口座で利用することができます。
前述の例で、3,000万円の預金が2つの口座に1,500万円ずつだったとします。
それぞれの口座から子供が仮払いとして引き出せるのは、以下のようになります。
1,500万円×1/3×1/4→125万円
双方の口座ともに125万円ずつとなるため、
125万円×2口座→250万円
なお仮払いした財産(現金)は相続財産です。仮払いした現金は、「遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」ということです。遺産分割する際には、仮払い分は受け取ったとして計算されます。
つまり、仮払いをしてもしなくても遺産分割上、自身の総受取額は変わりません。
3,000万円の相続財産から250万円を仮払いしても、相続財産を計算する際には3,000万円-250万円(仮払い分)→2,750万円とはなりません。あくまでも仮払いした分も含めて、3,000万円で相続税の計算をすることになります。
今回の改正で、相続時の葬儀代や病院への支払いなどを立て替えると言う遺族の経済的な負担が軽減できそうですね。
②自筆書名遺言に関する改正について
次に、今回の相続税の改正では、自筆証書遺言に関しても改正がありました。自筆証書遺言はその名の通り、すべて自筆で記入する必要がありました。
これが、財産目録分に関してはパソコン(ワード)で作成することが認められるようになったのです。
ただし、パソコンで財産目録を作成した場合も署名押印は必要ですし、遺言書の本文については、これまでどおり手書きで作成する必要があります。便利になった部分も大きいですが、全文がパソコンでOKという訳ではありませんので注意しましょう。
また、せっかく自筆証書遺言を作成しても、発見されないというリスクや改ざんされてしまうリスクもありました。そのため、自筆証書遺言が発見された場合、家庭裁判所に検認してもらう必要があり、面倒な面も少なくありませんでした。しかし、今回の改正により、2020年7月10日以降は、作成した自筆証書遺言を法務局に保管してもらうことも可能となりました。法務局に保管してもらえれば、改ざんなどのリスクも防げますので、家庭裁判所による検認手続きも不要となっています。
いかがでしたでしょうか。少しずつ相続への備え方も変わってきていますので、ご興味ある方は一度税理士さんなどに相談してみてはいかがでしょうか?
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催