FPが解説!老後資金に2,000万円必要って??

2019.06.21 (更新日:2019.06.21)
ニュースなどでも話題になった「老後に2,000万円必要!」という金融庁の報告書。いわゆる人生100年時代という長寿化において、定年後に生活をしていくうえで、金融資産の取り崩しに2,000万円必要という内容でした。「2,000万円」という具体的な金額にインパクトがあることもあり、政治家からもコメントが出されるなど、社会的にも大きな影響が出ています。今回は、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」について解説いたします。
■報告書の中身で注目すること
今回の報告書では2,000万円という金額が話題になっていますが、具体的な数値の根拠に関しては、あまりスポットが当たってはいません。金融庁が発表した 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を確認して、2,000万円の根拠をみていきましょう。そのためには、まずは次で紹介する2つの前提を押さえておく必要があります。
①長寿化に関して
まず、今後さらなる長寿化が進むことがこの報告書上の前提となっています。このあたりは、「人生100年時代」という言葉の通り、一般的にもよく理解されていると思います。今回の報告書では、単純な長寿化だけでなく、寿命と健康寿命の差からくる影響や認知症対策の必要性など、かなり突っ込んだ内容になっています。認知症によって自身の金融資産の引き出しができなくなる点、資産運用への制限などに対する警鐘、その対策としての成年後見制度について言及している点は注目するべき点と思います。
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②65歳以上の世帯経済状況
報告書では、65歳以上の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均値として、
世帯収入:209,198円、世帯支出:263,718円、したがって毎月の赤字額は 54,520円となりますが、報告書では約5万円と丸めて表記されています。
■本当に老後資金は2,000万円必要なの?
老後の生活を過ごすうえで、年金等の収入で足りない場合は自分自身の金融資産(貯え)を取り崩す必要がありますよね。金融庁のいう2,000万円の根拠についてみていきましょう。前述の通り、現状の年金受給世帯(無職)の赤字額は、約5万円です。仮に65歳から95歳まで(30年間)生きた場合、5万円×12か月×30年=1,800万円、より詳細には、54,520円×12か月×30年=1,962.7万円、これが2,000万円の数字的な根拠です。
この2,000万円という金額、皆さんどのように感じましたでしょうか?
実は報告書上、夫婦二人世帯で、世帯主が65~69歳時点での金融資産の平均保有状況は、2,252万円となっています。つまり、平均的な状況であれば、2,000万円はクリアできているということです。ちなみに、単身世帯でも男性単身世帯で1,552万円、女性単身世帯で1,506万円となっています。2,000万円というのは、夫婦2人での計算であることを考えれば、単身世帯も平均的な状況であればクリアできそうですね。
ただし、2,000万円という数値は、注意が必要な点もあります。報告書では「支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要である」と記載があります。あくまでも「日々の生活の不足金額として2,000万円必要」ということで、大きな出費は別途必要ということです。「住宅ローンの残債がある」という方は、ローンの返済費用も考えておく必要がありますし、大病した際の費用も考えておく必要があります。また、報告書では「男性65歳以上、女性60歳以上」と夫婦に年齢差がある前提となっています。男女の寿命の差を考えると、このケースの場合であれば、「夫が天寿を全うした後に妻が一人で生きていく期間」も考慮に入れておく必要がありますね。
■退職金の活用に向けて
さて、それなりの額の退職金がもらえるのであれば、2,000万円は確保できるように感じた方はいませんでしょうか?今回の報告書には、退職金に関して下記のような記載があります。
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①約80%の企業が退職金制度を準備しているが、その割合は減少傾向にある
②現在は定年退職者の退職金の給付額は1700万円~2000万円だが、ピーク時だった20年前と比較すると、3~4割減少している
③転職やフリーランスも増えるという働き方の多様化を考えると、受取額が勤続年数に比例する従来の退職金制度だと
今後も退職金の受取額は減少する事が予想される
④退職金を受け取った3割が退職金の額を受け取るまで知らなかった
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つまり、退職金だけに頼るというのは危険だということが言いたいのです。また報告書では、退職金制度の現状にしっかり触れるだけでなく、退職金の運用に関しても下記のように触れています。
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・4人に1人が退職金を投資に回している
・投資に回した人の半数が、退職金の1~3割を投資に回している
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多くの人にとって、退職金は普段管理しているお金とは桁が違う金額です。それだけ重要なものだからこそ、退職金の運用に関しては、「運用方針や資産運用にあたって必要な金融に関する知識を、事前にある程度は身につけてから臨むことが望ましいと言える」と報告書では結論づけています。
つまり、「初めての資産運用が退職金ということは、避けたほうが良い」と言い換えることができます。金融庁が本気で資産運用の重要性を伝えたがっていることがわかりますね。実際、報告書でも資産運用に関して「長期・積立・分散投資の有効性」も記載しています。この有効性をフル活用できるように作った制度がiDeCoやつみたてNISAです。どちらも税制面でも優遇された非常に良い制度です。こうした制度もうまく活用し、自身の老後資金をしっかり準備していきましょう。
いかがでしたでしょうか?今回の報告書で、老後に向けた資産形成を考えるきっかけになった方も多いのではないでしょうか。「何から始めたらいいのかわからない…」という方は、ぜひSodanの対面相談をご利用下さい。経験豊かなファイナンシャルプランナー(FP)が無料で資産運用に関するご相談を承ります。
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ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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