金融商品の販売会社や運用会社が破綻したら資産はどうなるの?

2019.01.25
預金や保険、投資信託や株式などの金融商品。最近では投資型のクラウドファンディングなどもありますが、いずれにせよ金融商品の販売会社や運用会社が破綻したら、これまでの資産はどうなってしまうの?と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、ファイナンシャルプランナーの坂本卓也(所属:ブロードマインド株式会社)が、金融商品の販売会社および運用会社が破綻した場合について、ケース別に解説いたします。
■ケース1:銀行預金
日本人がお金の預け先として最も利用している銀行預金ですが、銀行が破綻した場合については学校で習ったなどでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。日本国内に本店のある銀行や信用金庫、労働金庫などは、「預金保険機構」に加入しているため、お金を預けている金融機関が破綻したとしても、預金者1人あたりにつき元本1,000万円とその利息までは保護されています(ペイオフともいいます)。ここで1,000万円以上預けていた場合はどうなるのか?が気になるかと思いますが、破綻時の状況により返還される金額は異なります。
一方で、同じ金融機関に複数口座を持っている場合は、銀行破綻時には同一名義の口座を統一する「名寄せ」という作業を行います。前述の通り、預金者1人あたりにつき元本1,000万円までを保護の対象とするため、同じ銀行に複数口座を持っていたとしても保護の金額が増えるわけではありません。なお、外貨預金はそもそも保護の対象外となりますのでご注意ください。
■ケース2:生命保険
生命保険の場合も「生命保険契約者保護機構」という機関が存在しており、加入している保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構の支援のもと他の保険会社が救済するor保護機構が引継会社を設立し、保険契約を続けることができます。実際に、2000年前後に多くの中堅保険会社が破綻し、多くの外資系保険会社が破綻した保険会社を買収のうえ日本に参入するという事態が起きましたが、その際にも保護機構が契約を維持するための資金援助を行っています。
前述の通り、保険会社が破綻した場合は引継保険会社によって保険契約を継続することができますが、保護されるのは責任準備金(保険会社が将来の支払いに備えて収入保険料の一部を積み立てている分)の90%までとなります。しかし、1980年代~1990年代の保険のように予定利率の高い保険契約の場合は、予定利率の引き下げなど、契約条件を変更される可能性があります。なお最近では、代理店や銀行など、保険会社以外から保険へ加入するケースも多くありますが、この場合は販売元の会社が倒産しても契約内容への影響はありません。
■ケース3:投資信託
投資信託は、販売会社・運用会社・信託銀行など、さまざまな金融機関が携わる金融商品ですが、これらの機関が破綻した場合には、原則として資産は守られるものの各機関ごとに対応が異なります。以下で詳しくみていきましょう。
①販売会社(証券会社など)が破綻した場合
投資家は証券会社などの販売会社を通じて投資信託を購入しますが、預けたお金は販売会社を通じて信託銀行が信託財産として管理します。そのため、販売会社が破綻した場合は保有している投資信託が別の販売会社に移管され、移管先の金融機関で引き続き取引することが可能です。
販売会社投資家から預かった資産を自社の財産とはわけて、顧客資産として分別管理することが義務付けられているため、販売会社破綻した場合は預けている有価証券の返還を求めることができます。この返還が円滑に進まない時は、「投資者保護基金」が1人につき1,000万円を補償することになります。
②運用会社が破綻した場合
投資信託の運用は運用会社が運用方針を決めるため、基準価格の変動は運用会社の成績次第となりますが、運用会社が破綻した場合には、運用している投資信託が他の運用会社に引き継がれるorその時点で運用が終了し繰り上げ償還されます。
③信託銀行が破綻した場合
投資信託の信託財産は信託銀行が管理しますが、信託財産は信託銀行自身の財産とは区分して管理する必要があるため、信託銀行が破綻したとしても信託財産への影響はありません。保有している投資信託は、破綻時の基準価格で解約するor他の信託銀行に移管されればそのまま投資信託を保有することができます。
■ケース4:株式・債券
株式や債券の場合も、販売会社である証券会社と発行体である企業・国・自治体により対応が異なります。
①販売会社(証券会社など)が破綻した場合
投資信託の時と同様に、証券会社などの販売会社が破綻した場合は、保有資産への影響はありません。
②発行体(企業・国・自治体)が破綻した場合
株式の発行体である上場企業が破綻した場合、株式は整理ポストに移され、一定期間後に上場廃止となります。破綻が判明すると大幅に価格下落が生じ、元本だけでなく配当や利息も受け取れなくなる場合があります。整理ポストにある間は、株価は0に近くなり、上場廃止と同時に市場で売却ができなくなります。
債券の発行体である国・企業・自治体が破綻した場合は、利息の支払いや元本の償還が遅れるor行われなくなります。債券による発行体の債務は、株式などによる出資金よりも優先的に弁済(※)されるため、必ずしも0になるわけではありませんが、投資金額を大きく下回る弁済額となったり、当初の償還期日よりも長期に渡る繰り延べ弁済となったりする可能性があります。
(※)債務を履行し、債権を消滅させること
■ケース5:確定拠出年金
確定拠出年金は、運営管理機関が破綻した場合と運用商品を提供する金融機関が破綻した場合で、それぞれ以下のようになります。
①運営管理機関(証券会社・銀行・保険会社)が破綻した場合
年金資産の価値に影響はなく、別の運営管理機関へ移管されることになります。
②運用商品(ファンド)を提供する金融機関が破綻した場合
確定拠出年金の運用商品は、預金と投資信託に大別されます。
【預金】
定期預金などに入れられている資産については、預金保険制度の対象となり、1人1金融機関について元本1,000万円とその利息が保護されます。同じ金融機関で確定拠出年金以外にも預貯金を預けている場合は、それらを合算して計算されます。
【投資信託】
投資信託を運用している会社が破綻した場合は、前述のケース3:投資信託の②運用会社が破綻した場合と同様です。
いかがでしたでしょうか?銀行以外に保険会社、証券会社にも保護機構があり、投資者の資産が守られるように配慮されています。だからといって安心するのではなく、ポートフォリオを組む際は、金融商品の安全性も考慮したうえでリスク資産の配分を考えるようにしましょう。
ブロードマインド株式会社
執筆者:坂本 卓也
新婚世帯や子育て世帯へ向けたマネーセミナー講師として活動。社会保障や金融商品、ニュースでよく聞く言葉など、皆さまの疑問を解決し、生活に役立てていただけるような情報を発信します。

■保有資格
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン

■実績
マネーセミナー:年間50回以上開催
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