日本円だけでは危ない?外貨を持って為替変動リスクに備えよう!

2018.11.30
外貨で資産運用と聞くと、「為替変動のリスクが怖い」「元本割れしてしまうのでは・・・?」など、マイナスイメージを持たれる方も少なくないですよね。しかし、日本円だけではなく外貨も持っておくことで、為替変動リスクに備えることができることをご存知でしょうか?今回は、ファイナンシャルプランナーの坂本卓也(所属:ブロードマインド株式会社)が、外貨を持つことの重要性について解説いたします。
■なぜ外貨を持っておいたほうが良いの?
日本国内で生活する限りは日本円だけで生活できるはずなのに、なぜわざわざ外貨を持つ必要があるのでしょうか?
それは、為替変動リスクに備えるためです。私たちの日々の生活において必要なもののなかには、輸入先の物価や為替の影響を受ける可能性があるものが大いに存在しています。たとえば、パンや麺などの原材料となる小麦は86%が海外からの輸入に頼っていますし、エネルギー(石油・ガス)の92.6%は海外からの輸入です。そのため、たとえば日頃から車に乗る方などは、為替変動によるガソリン価格への影響を感じたことがあるのではないでしょうか。
そんななか、円高であれば海外からの輸入品を安く買うことができますが、円安となれば同じものを同じだけ買ったとしても高くなってしまいます。今後の日本経済を考えると、経済が成熟化しているうえに少子高齢化が進み、他国と比べて大きな経済成長はあまり見込めません。他国と比べて経済成長率が低いと投資対象として見られず、円が手放され、円の価値が下がることで円安になる可能性があります。そして円安が進むと、海外への依存が高い食料品やエネルギーの価格が上がることになります。
では、円安になると、私たちにとってどのような影響があるのでしょうか?
たとえば、1,000円持っている人が10ドルの小麦粉を購入する場合を考えてみましょう。1ドル=100円の場合、小麦粉の価格を円に換算すると10ドル×100円=1,000円になります。よって、1つ購入することができます。では、円安が進み1ドル=200円になった場合はどうでしょうか?この場合、小麦粉の価格は10ドル×200円=2,000円になるため、手持ちの円だけでは買えないということになります。
さて、ここで1,000円を1ドル=100円のタイミングで10ドルに換えていたとしたらどうでしょう?この場合、円安が進み1ドル=200円になったとしても、手元の10ドルで小麦粉を買うことができますよね。このように外貨を保有することで、為替変動があったとしても物が買えないというリスクを回避することができるというわけです。
ここで重要なのは、あくまでも「手元の資産をいくつかの通貨に分散させる」ということです。では、外貨ばかりを保有してしまうとどのようなリスクがあるのか?を考えてみたいと思います。
先ほどとは異なり、10ドル持っている人が1,000円の小麦粉を購入するとしましょう。1ドル=100円の場合、円に換算すると10ドル×100円=1,000円で小麦粉を1つ買うことができますね。では、円高が進み1ドル=50円になった場合はどうでしょうか?この場合、手元には10ドル×50円=500円しかないため、手持ちのお金だけでは買えないということになります。一方、10ドルを1ドル=100円のタイミングで1,000円に換えていたとしたら、円高で1ドル=50円になったとしても手元の1,000円で小麦粉を買うことができますよね。
このように複数通貨に分散させることにより、円高になった際にも円安になった際にも対応することができるというわけです。実際に、日本政府も円のみを保有しているのでなく、為替の影響に備えて約1兆2千億ドルもの外貨を保有しています。
■どこの国の通貨を持っておくと良いの?
一口に外貨といっても、米ドル、豪ドル、ユーロや元など、さまざまな通貨があります。では、どこの国の通貨を持っておくと良いのでしょうか?
IMF(国際通貨基金)によると、2017年の世界の中央銀行の外貨準備高の通貨構成では、円が4.64%、ユーロが19.91%であるのに対し、米ドルのみで63.79%にのぼります。そのため、初めて外貨の保有を考える場合には、世界の基軸通貨であり最も流通量の多い米ドルがおすすめです。
なかには、新興国の高金利通貨でより高い利回りを目指すという方もいますが、ブラジルレアルやトルコリラなどのように、政治状況の変化で価値が急落してしまうリスクがあります。そして、実際に近年通貨が急落したアルゼンチンやトルコでは、国民が自国の通貨破綻を懸念し自国通貨からドルに換える動きが多く見られました。このように、自国の通貨が弱くなると米ドルを持つ流れが一般的であることからも、やはり米ドルを保有しておいたほうが安心というわけですね。
■外貨はどんな金融商品で持つことができるの?
さて、どのような金融商品で外貨を持つことができるのでしょうか?
【外貨預金(定期)】
最も一般的な金融商品は「外貨預金」です。現在、円の普通預金金利は0.001%ですが、大手金融機関の外貨預金では0.35%と円に比べて350倍もの金利差があります。また、1年定期で0.6%程度と預金金利としては非常に魅力的ですね。
ただ、外貨預金には為替手数料が発生するため注意が必要です。円からドルへの預入れ、ドルから円への引出しともに、1ドルに対して1円程度の為替手数料がかかるのが一般的です。では、1ドル100円のタイミングで、100万円を外貨預金(金利0.35%)へ預けた場合を考えてみましょう。100万円=1万ドルとなりますが、円からドルへの為替手数料で1万円=100ドルかかるため、実質9,900ドルでの運用スタートとなります。9,900ドルに0.35%の利率がつくと9,934.6ドルとなるため、為替が1ドル=100円のままだった場合、円に換算すると993,460円となるわけですが、そこからドルから円への為替手数料が9,934円引かれるため、実質戻ってくるのは983,526円となります。
このように短期間での運用の場合、預けた時よりも為替が円安でないと、手数料の分だけ減ってしまう可能性があるため、利回りだけでなく為替手数料も加味して検討する必要があります。
また、外貨預金で最も気を付けなければならないのが銀行の破綻です。円預金では銀行破綻時の保証(ペイオフともいいます)が1,000万円までありますが、外貨預金ではその保証がありません。そのため、預け先の金融機関を選ぶ際は破綻リスクなども踏まえて検討する必要があります。
【外貨建て債権】
数百万円単位の資産を数年~数十年と長期に渡って預ける場合は、「債券」を使った保有手段があります。そもそも債権とは、国や地方自治体、企業などが投資家からまとまった資金を調達するために発行するもので、商品によって運用期間が5年・10年・30年と決まっており、運用期間中は一定の利息を受け取ることができます。購入時に利率や運用期間などが決まっており、満期を迎えると利息が付いて戻ってくるものや、運用期間中に利息分を配当として受け取ることができるものもあります。最近では、日本の企業や金融機関の社債でも外貨建てで運用されているものも多数あります。
外貨建て債券のなかには、保険会社経由で購入することのできる「外貨建て保険」や証券会社経由で購入する「外貨建てMMF」などのように、手頃な金額で購入できるものや月々の積み立てで購入できるものもあります。外貨預金と比べて、外貨建てMMFはコストも低く金利も高いといったメリットがあります。また、円建ての保険と比べて、外貨建て保険は安い保険料で高い保障を得られるといったメリットがあります。このように外貨を持つ手段も複数あり、運用期間や期待利回りなどによって選択肢も異なるため、目的に合わせた金融商品を選ぶことが重要です。
いかがでしたでしょうか?投資においては「分散投資」が大切といいますが、預金・債券・株式等の商品を分散することと、通貨を分散させることで、有事の際に資産が大きく値崩れするのを防ぐことができます。20~30年先のご自身の資産を考えて、外貨を持つことも検討してみてはいかがでしょうか。
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ブロードマインド株式会社
執筆者:坂本 卓也
新婚世帯や子育て世帯へ向けたマネーセミナー講師として活動。社会保障や金融商品、ニュースでよく聞く言葉など、皆さまの疑問を解決し、生活に役立てていただけるような情報を発信します。

■保有資格
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン

■実績
マネーセミナー:年間50回以上開催
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