老後の生活費はいくら必要?予期せぬ出費に備えるには?【FP無料相談インタビュー】

2018.10.31
老後の生活費に、親の介護費。30代後半から40代になると、まだまだ先だと思っていたお金の問題が現実味を帯び始めてきます。Sodan[ソダン]のファイナンシャルプランナー(以下、FP)による無料相談サービスなら、インターネット上だけでなく対面でもそのような悩みに答えてもらうことが可能。女性の相談者が圧倒的に多く、退職後の生活費や保険、住宅資金、教育資金などお金にまつわる悩みが日々寄せられています。今回は、老後の生活費の貯め方にお悩みの斎藤綾子さんが対面相談を体験。相談に応対したFPの平原直樹さんに、「老後」と「お金」の疑問について答えてもらいました。
相談者:斎藤綾子(さいとう あやこ)※仮名
38歳、パート勤務。出産と育児を機に、メーカーの正社員を退職。40歳の会社勤務の夫と、10歳と8歳の子どもと生活している。
FP:平原直樹(ひらはら なおき)
ブロードマインド株式会社 マーケティング本部シニアマネージャー。IFA(証券外務員一種)、TLC(生命保険協会認定FP)、家族信託コーディネーター。
http://www.b-minded.com/
取材・文:山岡理帆
■老後の生活費に備えるために知っておくべき「お金」のこと。FPの無料相談を受けてみる
――今回、Sodan[ソダン]でFPとの対面相談を受けてみようと思ったのはなぜでしょうか?
斎藤:60代後半になる親と、そろそろ将来の介護についてきちんと考えなければ……という話をしていました。今はまだ両親ともに元気なのですが、夫が定年を迎える頃にはどうなるか分かりません。それから夫と、親の介護や自分たちの老後のお金について考えるようになって。まだ子どもも小さいので、大学進学などで養育費はそれなりに必要になると思っています。親が病気になったり介護が必要になったりしたときに、何か援助してあげたい。でも、子どもにはまだまだお金がかかるし、自分たちの老後の生活費も蓄えていきたい。今までそれほど計画的にお金を貯めてこなかったので、まずは何をすれば良いのか知りたいと思いFPに無料で相談できるSodan[ソダン]を利用することにしました。
――老後のメリットを考えると正社員とパート、どちらが良いですか?
平原:斎藤さまのケースですと、今はパート勤務ということでしたので、まずは正社員として働くことをおすすめしました。退職後に必要な生活費は、「夫婦2人で最低25万円(家賃抜き)」とよく言われています。総額にすると約3,000万円ですね。しかし、25万円を丸々自由に使えるわけではありません。健康保険を払わなければいけませんし、光熱費や通信費、介護や病気をはじめとする予期せぬ出費なども必要になります。それに、この金額はあくまで現在の高齢者のライフスタイルをもとに算出された生活費なので、私たちが高齢者になったときには通信費などがもっとかかるようになると考えられます。
パート勤務だと、基本的には毎月約6万円が支給される国民年金しか支払われません。一方で、正社員として勤務すると厚生年金が支給されることになります。年収に比例して支給額が変動するので一概には言えませんが、年金が2万円程度上乗せされる可能性が高いです。それに、退職金が支払われる会社であれば、老後の蓄えを積み上げることができます。お子さまもそれほど手のかからない年齢になっているでしょうから、老後のメリットが大きい正社員として働いたほうが良いと思います。
斎藤:私は出産と育児をきっかけに正社員として働いていた会社を辞めたのですが、パート勤務をしていたママ友が多かったので、そのままなんとなくパートとして働いていました。確かに、厚生年金と退職金があるかないかという差は大きいなと。働くこと自体は嫌いではないので、さっそく求人を探してみたいと思いましたね。
■介護、病気、レジャー。生活費以外にかかるお金はさまざま
――先ほど「予期せぬ出費」というお話がありましたが、具体的にどのようなものが考えられますか?
平原:まず、斎藤さまも懸念されている親御さんの介護費用ですね。状態によってかかる費用は全く異なるのですが、よくアドバイスしているのは、介護では200万円から300万円程度を見込んでおいたほうが良いということです。親御さんの貯金から介護費用を捻出することができたとしても、通院や介護の付き添いで交通費がかかったり、ハウスキーパーに家事を代行してもらう費用がかかったりするでしょう。よくあるパターンは、奥さま側が親の介護を助けるために退職してしまうというケースです。しかし、介護で仕事を辞めてしまうと生涯賃金に数千万円の差がついてしまうので、自分の老後のためにもできる限り働き続けたほうが良いと思います。将来的にはご自身たちの介護費用もかかってきます。いざというときに貯えがないとお子さんたちに迷惑がかかってしまいますので、早めの準備をおすすめします。
また、ご自身たちの病気に関わる費用も予期せぬ出費になります。病気の中でもがんは罹患率が高く、国立研究開発法人国立がん研究センターの発表によると男性は62%、女性は46%と2人に1人はがんになる可能性があります。がんになったら入院や治療費などでかなりのお金が必要になってしまいます。がんは年齢関係なく患ってしまう可能性があるため、がん保険の加入をおすすめします。貯金で賄うこともできなくはないですが、老後に向けてお金を貯めているうちに病気になってしまったら、どうにもできませんよね。がん保険に加入すれば、老後に備えるとともに、目の前のリスクにも備えることができます。今は治療を重視した保険が多く提供されていますので、どういった治療の保障をつけるべきかという観点から選ぶと良いでしょう。
斎藤:たしかに、老後のことばかり考えてしまっていたのですが、私の年齢くらいの女性だと乳がんになるリスクも高いですよね。病気のためにお金を貯めるというのも限界があるので、がん保険への加入を検討してみたいと思います。
――他にかかり得る出費はあるのでしょうか?
平原:先ほど申し上げた「夫婦2人で月25万円」というのは、あくまで食費や光熱費、健康保険など生活で最低限必要になる費用です。退職後に旅行せず、外食せず、一切の娯楽を断つというのは現実的ではないですし、夫婦生活がうまくいかなくなってしまうかもしれません。そのため、交際費やレジャーにかかる費用も想定しておいたほうが良いですね。
あとは、家電が壊れてしまったときに買い直すためのお金も臨時の出費として考えられます。子どもや親戚が結婚したときのご祝儀や、誰かが亡くなったときのお香典もそうです。もしお孫さまができたら、お年玉やお小遣いもあげたいですよね。普段の生活では必要ないものの、ゆとりのある暮らしや人付き合いにかかる出費というのも想定して、お金を貯めていかなければなりません。
■お金がない人こそ資産運用をすべき理由
――老後の生活費と予期せぬ出費に備えるためには、具体的に何をすべきなのでしょうか?
平原:まずは、旦那さまの退職金があるのかどうか、出る場合はどの程度の金額なのかを確認してください。退職金の有無は把握していても、金額までは知らないという方が意外と多いんですね。しかし、その金額によって貯めるべきお金は変わってきます。たとえば、退職金が3,000万円もらえるとしましょう。そうすると、何もしなくても老後で最低限必要になるお金が一瞬で貯まることになります。一方、退職金が500万円もらえるという場合でしたら、最低でも残り2,500万円を貯めていかなければなりません。ゆとりのある生活を送りたいという場合でしたら、さらに数千万円必要になるでしょう。
斎藤:夫が今40歳で、定年は65歳です。残り25年間で最低2,500万円貯める場合、少なくとも毎年100万円は貯金しなければいけませんよね。できなくはないのかもしれませんが、子どもの進学にかかる費用などを考えると結構大変な印象です。
平原:そこでおすすめなのが資産運用です。資産運用というとお金に余裕のある方がすること、というイメージがあるかもしれませんが、余裕がない方こそやるべきなのです。ただ貯金するだけだと金利はほとんどつきませんので、100万円は100万円ちょっとにしかなりませんし、50万円しか貯められなければダイレクトに老後の生活費に響いてしまいます。一方、資産運用をすれば元のお金よりも増やしていくことができます。
特におすすめなのが、iDeCo(イデコ)とつみたてNISAです。iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことで、60歳までの間に毎月数万円の掛け金を出して、投資信託や定期預金、保険などの金融商品を運用し、60歳以降に運用した資産を受け取るものです。会社が退職金制度として「企業型確定拠出年金」導入している場合もあるので、確認してみてください。すでに加入しているという場合は、あまり何も考えず元本保証商品を選択していることが多いようです。リスク商品のほうがもらえるお金は多くなる可能性が高いので、変更したほうが良いと思います。
つみたてNISAとは、金融庁の肝いりで始められた制度で、毎月数万円の投資を行い長期間にわたって投資信託を運用することで、利益を増やしていくものです。旦那さまが40歳ということですので、65歳までの25年間に毎月3万円貯めると、900万円になります。利息がほとんどつかない銀行預金だとプラス1,000円程度といったところですが、5%の金利がつく運用商品に投資すると、約1,780万円にもなるのです。
――iDeCo(イデコ)やつみたてNISAで損してしまうことはないのですか?
平原:リスクが一切ないというわけではありませんが、小額をこつこつ投資して長期間運用することで、リスクが限りなく低減されると言っても問題ないでしょう。手取りの収入のうち10%を貯金に、10%を資産運用に回すことで、老後のお金を安定的に貯めていくことができます。
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■退職後も働き続ければ生活にゆとりが生まれる
――他にやるべきことはありますか?
平原:退職後の話にはなりますが、定年後も働き続けることをおすすめします。年金と貯金を切り崩しながら生活するのと、毎月5万円でも収入がある状態で生活するのでは、生活の余裕から心理的なプレッシャーまで大きく異なってきます。ハローワークに行けばシルバー向けの求人はいくらでもありますし、人材不足が深刻化していくことが予測されますので、10年後20年後に定年後にも働くことが当たり前になっていくでしょう。今と同じ仕事を続けなくても全く問題ありません。負担の少ない仕事に就いたり、趣味を仕事にして年金の足しにしたりすると、ゆとりのある生活が送れると思います。
――今回の相談を通して、斎藤さんがやってみたいと思ったことはありますか?
斎藤:老後に必要になるお金を今の年齢から逆算して考えると、具体的にやらなければいけないことがたくさん見えてきました。親や子どものために必要な資金と、自分たちの老後の生活のために必要な資金を貯めるため、さっそく資産運用を検討してみたいですね。正直怖いイメージしかなかったのですが、小額かつリスクが少ないということで、チャレンジしてみる価値があるなと感じました。
また、FPの平原さんにアドバイスしていただいた通り、正社員として働くため具体的に行動したいと思います。今でも、パート勤務とは言いつつも時間を費やしてしっかり働いているので、老後のメリットが大きい正社員と大変さは変わらないと思いますので。知らないことや考えてこなかったことをプロにたくさん教えていただけたので、本当に相談して良かったと思います。
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