配偶者控除(配偶者特別控除)の見直し!何がどう変わったの?

2018.01.24 (更新日:2018.11.13)
税制改正により、2018年から配偶者控除(配偶者特別控除)が見直されたことはご存知でしょうか?配偶者がいて、「扶養の範囲」で働くことを意識している奥さま方に影響する変更です。今回はファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、配偶者控除(配偶者特別控除)の見直しによる変更点を解説いたします。扶養のまま損をしないためにはどうしたらいいの?と気になっている方に読んでいただきたいコラムです。
■そもそも配偶者控除(配偶者特別控除)とは?
まずは配偶者控除についておさらいしましょう。配偶者控除を理解するためには、日本の所得税の考え方を把握する必要があります。
基本的に、所得税は累進課税という制度を取っていて、収入が多い人ほど多く課税されます。逆にいうと、所得税を減らすためには収入を下げれば良いというわけです。とはいえ、実収入を減らしてしまったら意味がありませんよね。そこでポイントになるのが「控除」という考え方です。一定の要件を満たしていれば、所得税を計算する際に実収入から控除額分を引くことができるというものです。これにより、実収入が同じでも、控除の額が増えるほど課税額(所得税額)が少なくて済みます。
この控除の一つが、今回のテーマである「配偶者控除(配偶者特別控除)」です。一般的に、独身世帯と扶養する配偶者がいる世帯とで比較すると、配偶者がいる世帯のほうが生活費等がかさむことが予想されます。そのため、「その代わりに所得税額を減らしてあげよう」というのが配偶者控除の基本的な考え方というわけです。
ただし、前述で「一定の要件を満たしていれば」とお伝えした通り、配偶者控除(配偶者特別控除)を受けるにあたっては年収等の要件が設けられています。具体的には、配偶者である奥さまの年収が103万円以下であれば配偶者控除として38万円分、世帯主であるご主人の収入から控除を受けることができました。たとえば、ご主人の所得税率が10%の場合は38万円×10%=38,000円、所得税率20%の場合は38万円×20%=76,000円も税負担が軽くなるというわけです。このことから、税率が高い(収入が高い)ご家庭ほど税の軽減効果も高くなるということがわかります。また、奥さまの年収が141万円以下の場合は控除額が減額されるものの、配偶者特別控除として段階的に控除を受けることができました。
※年収要件には、生命保険料控除や住宅ローン控除などは加味されません。
そして、今回の制度改正により要件が見直され、「扶養の範囲」にも影響が生じるようになったというわけです。次で、何がどう変わったのか?をみていきたいと思います。
■配偶者控除(配偶者特別控除)の変更点とは?
では、今回の制度改正により何がどう変わったのでしょうか?
まず配偶者控除に関しては、配偶者である奥さまの年収が103万円以下で、世帯主であるご主人の年収が1,120万円以下の場合は38万円、ご主人の年収が1,120万円~1,170万円以下の場合は26万円、ご主人の年収が1,170万円~1,220万円以下の場合は13万円の控除が受けられるようになりました。
また配偶者特別控除に関しては、奥さまの年収が103万円~150万円以下の場合に、上記の配偶者控除と同様の控除を受けることができるようになりました。年収103万円は月額換算すると約8.5万円/月、年収150万円は12.5万円/月であることを考えると、これまでよりも長く働くことができるようになったということがわかりますね。なお、控除額は減額されますが、150万円を超えても201万円以内であれば配偶者特別控除を利用することができます。
これまで年収が103万円以内に収まるよう仕事をセーブしていた方にとって、実質150万円まで働くことができるとなると、家計の足しにもなってありがたいですよね。ただし、「扶養」という観点においては、税制面だけでなく社会保険についても考える必要があります。では、社会保険の観点で考えた場合、何か注意すべき点はあるのでしょうか?
■130万円を超えて働く場合の注意点
基本的に、130万円を超えて仕事をする場合、社会保険上の扶養から外れてご自身で社会保険に加入する必要があります。社会保険料をご自身で支払うとなると、実質の手取り額は減少することになります。とはいえ、勤務先の社会保険に加入できた場合は厚生年金に加入することになるため、将来受取る年金額が増えるというメリットもあり、意味がある支払いともいえます。
問題なのは、勤務先の社会保険に加入できなかった場合です。この場合は、年金も国民年金のままです。扶養扱いである第三号被保険者も、ご自身で保険料を納付する第一号被保険者も将来受取る年金額は同じなので、単純に支払いが増えるということになります。扶養を意識している働き方の場合、勤務先の社会保険の加入要件を満たさないことが珍しくありませんので注意が必要ですね。
今回の改正は、所得税の103万円という上限によって女性の社会進出を防いでいることを改善するための改正ですが、結局のところ社会保険との兼ね合いを意識する必要があるといえます。そのため、「扶養のまま世帯収入も上げたい!」そんな風にお考えの方にとっては、今回の上限額の引き上げ(103万円→150万円)は、片手落ちになる可能性があります。「世帯収入を上げたい!」そうお考えの方は、いっそのことフルタイムで働くことも視野に入れてもいいでしょう。これをきっかけに、ご自身の働き方を一度考えてみてはいかがでしょうか?
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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