がんになった時の働き方について考えよう

2019.08.23 (更新日:2019.08.23)
「がんになりやすいのは男性、女性どちらが多いの?」では、国立がんセンターの統計をもとに、現職時代では男性よりも女性の罹患率が上がることがわかりました。仮に現職時代にがんになった場合に頭を悩ますのは、治療と仕事の両立です。今回は、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、東京都福祉保健局「がん患者の就労等に関する実態報告書(平成26年)」をもとに、がんと仕事の関係について解説します。
■職場でのがん検診の受診率はどのくらいなの?
がんに限らず、大病にとって重要なのは早期発見ですよね。がんに関して言うと、早期発見するために重要なのはがん検診の受診です。
勤務先でがん検診を実施しているか否かを調べてみると、勤務先単体でがん検診を実施、健康保険と共同でがん検診を実施しているのは、あわせて43.5%に止まり、半数以上の企業が従業員のためにがん検診を実施していないことがわかります。まだまだ企業主体で従業員にがん検診を受けさせるというのは一般的ではないということですね。
前述のがん検診を実施していない企業を対象に、受診を促す取り組みをしているか?を確認すると、検診費用の補助をしている企業は22.8%、勤務時間内の受診の許可は11.8%、自治体で実施しているがん検診の案内・周知は7.7%となっている一方、特に何もしていない企業は59.3%となっています。
「特に何もしていない」が最も多い回答ではありますが、検診費用の補助や勤務時間内の受診など、何かしらフォローをしている会社が少なくないことがわかります。
■勤務先でどのくらいの人ががんに罹患しているの?
実際に「過去3年間でがんに罹患した従業員がいるか?」を調査すると、過去3年でがんに罹患した従業員がいる企業が37.2%、過去3年でがんに罹患した従業員がいない企業が52.0%、不明/無回答が10.8%となっています。
しかしながら、同じ調査でも従業員数が多くなると当然違う結果となります。従業員数が300人以上の企業に絞ってみると、過去3年でがんに罹患した従業員がいる企業が68.9%、過去3年でがんに罹患した従業員がいない企業が16.3%、不明/無回答が14.9%となります。従業員数が多い企業では、3年以内にがんに罹患した従業員がいるほうが圧倒的多数になります。
■がんに罹患した場合の働き方について
では実際に、がんに罹患した従業員の就労状況をみてみましょう。
がん診断時に企業に勤めていた方のうち、60.8%は、1か月以上の連続した休みを取得しています。やはり、仕事への影響はかなり大きいようです。
がん羅患後に退職した方も21.3%います。退職を選択した方の理由を確認すると、治療・療養に専念するため:53.1%、体力面等から継続して就労することが困難であるため:45.4%、周囲に迷惑をかけたくないため:34.6%となっています。 
収入のことを考えると、働けるのであれば働き続けたほうが安心ですよね。とはいえ、治療や通院をしないわけにはいきません。がんに罹患した方の一回当たりの通院時間を調査すると、4時間以上の方が全体の半数を超えています。この場合は1日休みを取るしかないですよね。
治療が長期化すると、有給も無くなり、欠勤扱いになることも予想されます。そうなると、当然収入も減ってしまいます。実際に収入の変化についての調査をみると、個人の収入が減ったと答えた方が56.8%と、半数以上は収入が減ったということがわかります。
なお、58.3%の人が、がん疾患後に家計を維持するために何らかの取り組みを行っています。具体的には、貯蓄を切り崩した50.4%、生活水準を落とした23.5%、家族が就労し始めた/家族が就労時間を増やした5.9%となっています。
福利厚生がしっかりしている大企業などで勤務している方もいれば、長く休職するのが難しい勤務先にお勤めの方、仕事の受注によって収入に変動があるフリーランスの方もいますよね。現職世代にとって、がんの治療と仕事の両立は重要な問題です。
また、がんになった時に支えとなるがん保険には治療費をメインに保障してくれる商品だけでなく、収入ダウンに備える商品もあります。がんに罹患した場合に貯蓄を切り崩すことが想定される方は、今加入しているがん保険の保障内容をまずは確認してみてはいかがでしょうか?
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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