障害者手帳と障害年金の関係について学ぼう!

2019.08.26 (更新日:2019.08.26)
障害者手帳と障害年金。どちらも障害者にとって強い味方ですが、「全く別の制度」だということをご存知でしょうか?それぞれに障害の状態に応じて決まる等級も必ずしも一致するわけではありません。今回は、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、障害者手帳と障害年金について解説いたします。
■障害者手帳とは?
まず障害者手帳ですが、こちらの手帳を持つことが障害者であることの証明となり、医療費の助成や税の軽減、公共料金の割引が受けられます。障害者手帳は、大きく分けて以下の3種類があります。
①身体障害者手帳
主に臓器や四肢など身体の障害が対象となります。1級から6級までの等級があります。
②精神障害者福祉保健手帳
 精神疾患や発達障害などが対象となります。1級から3級まであり、2年ごとに更新が必要となります。

③療育手帳
自治体ごとに設定する主に知的障害者向けの手帳です。 お住いの自治体の「障害者福祉 課」が窓口となります。
■障害年金とは?
次に障害年金についてです。年金というと「老後にもらうもの」というイメージがありますが、生計を立てていた方が死亡した際の「遺族年金」や、一定の障害状態になった際の「障害年金」は老後でなくても受け取ることができます。
障害年金には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。
①「障害基礎年金」
障害の原因となった疾病やケガで、初めて医師の診療を受けた日(初診日)において、国民年金に加入していた方で、所定の障害の状態になった場合
②「障害厚生年金」
障害の原因となった疾病やケガで、初診日において、厚生年金に加入していた方で、所定の障害の状態になった場合
両者とも障害の度合いで給付額が異なります。なお、障害状態が所定の要件に該当しなかった場合でも、その後症状が悪化して要件を満たした場合は、請求により給付を受けられる可能性があります。
■障害基礎年金とは?
障害の原因となった疾病やケガで、初診日において、国民年金に加入していた方で所定の障害の状態にある場合に支給されます。
なお、20歳未満の方はそもそも国民年金に加入していませんよね。そのため初診日において、20歳未満の方は障害基礎年金の給付を受けることが可能です。また、障害基礎年金を受ける場合、障害等級表の1級または2級の障害の状態である必要があります。
気になる受給額(年金額)は、2019年8月現在では、
【1級】 780,100円×1.25+子の加算
【2級】 780,100円+子の加算

 
※子の加算は、18歳になった年度の3月31日を迎えていない子か、障害等級1級または2級の20歳未満の障害児を子に持つ場合に受けることができます。加算額は、第1子、第2子:224,500円/人、第3子以降:74,800円/人となります。
参照:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法/日本年金機構
■障害厚生年金とは?
初診日にて厚生年金に加入していた方で、一定の要件を満たす方は、障害厚生年金の給付を受けることが可能です。障害等級表の1級または、2級の障害の状態になった場合は、障害基礎年金に上乗せして給付されます。
つまり、初診日に会社員や公務員だった方は、障害基礎年金と障害厚生年金とを両方もらえるということです。
また、障害の程度が2級に該当しない場合でも、障害厚生年金では障害等級が3級まで給付対象が拡大されています。障害厚生年金の方がより保障が充実していることがわかりますね。
給付額(年金額)は、以下の通りとなっています。厚生年金に関しては、保険料(支払)や給付(受取)が被保険者の収入に比例するという仕組みです。(収入が多い人は支払い保険料も高く、受取の給付も多いということです)そのため、障害の等級が同じ方でも、給付額は一人一人異なります。
【1級】
(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額:224,500円〕※
【2級】
(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額:224,500円〕※
【3級】
(報酬比例の年金額) ※最低保障額 585,100円
※配偶者の加給年金額:その人に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
■障害年金と障害者手帳で等級が違うことも!?
冒頭にも書きましたが、障害年金と障害者手帳とは違う制度となっています。障害者手帳の手続きをすれば、自動で障害年金を受給できるわけではありません。障害年金を受給するためには、自身で請求する必要があります。
 
また、障害の程度を図る尺度も1級、2級と等級という概念で同じような表現をしますが、同じ障害でも、各制度で等級が異なることがあるため注意が必要です。障害者手帳で1級だからと言って、障害年金でも1級とは限らないということです。障害者手帳の等級を見て、障害厚生年金の請求を諦めてしまうと、勿体ないケースもあります。
例えば、人工肛門の場合は、障害者手帳では4級の方もいらっしゃいますが、障害年金では3級となることもあります。3級ということは、障害厚生年金を受給できる方であれば、給付を受けることができます。
せっかくの制度なので請求しないと勿体ないですよね。こうしたことが無いように障害厚生年金の制度もしっかりチェックしてください。障害厚生年金の請求先は年金事務所となります。ご不明な点がある方は、お近くの年金事務所に連絡されると良いでしょう。
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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