資産形成してる人ほど医療費がかかる?老後の医療費はどれくらい?

2019.08.05 (更新日:2019.08.05)
老後の金銭面における三大不安として、「生活費」「医療費」「介護費」があげられます。最近ニュースで話題となった「2,000万円問題(老後に2,000万円必要)」には、実は医療費と介護費は含まれていないのです。今回は老後の三大不安のひとつである「医療費」について、ファイナンシャルプランナーの坂本卓也(所属:ブロードマインド株式会社)が解説いたします。
■高齢者の医療費はどのくらい?
まずは、現在の高齢者の医療費がどのくらいかかっているのかみてみましょう。
平成28年度の国民総医療費は42兆1,381億円です。そのうち65歳未満が16億9,797億円に対して、65歳以上は25兆1,584億円と、総医療費の59.7%を占めます。
[参照:結果の概要/厚生労働省
総務省による同年の人口比率(65歳以上は27.3%)から考えても、総医療費に対する65歳以上の高齢者の医療費が大きくかかっていることがわかります。
[参照:人口推計(平成28年10月1日現在)/総務省統計局
続いて、一人あたりの医療費をみてみましょう。
全年齢での一人あたりの医療費は33.2万円/年です。しかし、65歳以上の一人あたりの医療費は72.7万円/年と、全体平均の2倍以上かかっていることがわかります。一人あたりの医療費から自己負担金額の割合をかけた金額が、実際に医療機関の窓口に支払う金額となるため、現在の65歳以上の方の医療費の自己負担金額の平均値は、3割負担の方は21.8万円/年、2割負担の方は14.5万円/年、1割負担の方は7.3万円/年となります。
■高齢者の医療制度はどうなっている?
老後の医療費を備えるうえで知っておかなければならないこと、それは「高齢者の医療制度」です。現役世代の自己負担は、基本的に一律3割となっていますが、高齢者は年齢・収入により、医療費の自己負担金額の割合が異なります。
69歳までは現役世代と同様の医療保険制度のため自己負担は3割ですが、70歳から74歳までは「高齢者財政調整制度」の対象となり、原則2割負担、現役並みの所得(課税所得145万円以上)がある方は3割負担となります。また、75歳以上は「後期高齢者医療制度」の対象となり、原則1割負担、現役並みの所得がある方は3割負担となります。
また、ひと月の医療費の自己負担金額の上限である「高額療養費制度」も、年齢・収入によって異なります。
年収約370万円までの方は、健康保険適用の医療費であれば、ひと月最大57,600円の自己負担で済みます。また、自己負担の上限額に達した月が4か月以上ある場合、4か月目以降は「多数回」という扱いとなり、上限額が44,400円となるため、年間で最大572,400円(57,600円×3+44,400円×9=572,400円/年)の負担額となります。
なお、70歳以上の方は、入院などがなく外来診療のみであれば、ひと月の自己負担の上限は18,000円、年間で最大144,000円までとなります。
■資産形成をしてる人は注意が必要?
現在の高齢者の医療費制度をみると、非常に手厚く保障されていることがわかります。そのため、上記を見て〝そんなに心配する必要ないのでは?″と思われた方も多いのではないでしょうか。確かに現在は高齢者の医療費に対して、現役世代に比べて自己負担割合、自己負担限度額ともに手厚い保障があります。しかし、20年後、30年後の医療制度がこのまま続けられるかどうかはわかりません。実際に、高齢者の医療費制度も平成の30年間のあいだで、定額負担から定率負担へと切り替えられています。
下記で高齢者の医療費制度の変遷をみてみましょう。
昭和48年1月~:自己負担なし
昭和58年2月~:入院300円/日、外来400円/月
平成9年9月~:入院1,000円/日、外来500円/日(月4回まで)+薬剤費一部負担
平成13年1月~:定率1割負担(月額上限付き)
平成14年10月~:定率1割負担(現役並み所得者2割)
平成18年10月~:定率1割負担(現役並み所得者3割)
平成20年4月~:75歳以上→1割負担(現役並み所得者3割)、70~74歳→2割負担(現役並み所得者3割)、70歳未満→3割
月額自己負担の上限である高額療養費制度も徐々に引き上げられており、直近では平成30年に上限額引き上げの改正がありました。また、現役並み所得者という記載がありますが、基準はそれほど高くなく、年収約370万円以上で「現役並み所得者」となります。年金収入に加えて老後も働いている場合や、個人年金・退職金の年金受取等の収入がある場合は、医療費の自己負担額が現役世代と同様となる可能性があります。特に近年の医療保険制度や介護保険制度の改定では、現役並み所得者の自己負担が増加しつつあります。老後のためにしっかりと資産形成し、年金収入を作っておきたいと思っている皆さんほど、老後の医療費への対策もしっかりとしておかなければなりません。
老後の医療費に対して「現金で備えるのか」「金融商品で備えるのか」「民間の医療保険等で備えるのか」、備え方は人それぞれです。ご相談者の中には、当初は医療保険を検討していたけれども、高額療養費制度があるから入院や手術は預貯金でカバーすれば問題ない、より重い病気になった時が心配だから、がん保険や三大疾病保険に加入するという方もいらっしゃいます。自分に合った医療費の備え方を知りたいという方は、ぜひSodanの対面相談をご利用ください。
ブロードマインド株式会社
執筆者:坂本 卓也
新婚世帯や子育て世帯へ向けたマネーセミナー講師として活動。社会保障や金融商品、ニュースでよく聞く言葉など、皆さまの疑問を解決し、生活に役立てていただけるような情報を発信します。

■保有資格
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン

■実績
マネーセミナー:年間50回以上開催
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