老後も働き続ける際のお金の注意点とは?

2019.05.20 (更新日:2019.05.20)
前回の「老後に必要なお金はどう計算すればいいの??」では、老後に必要な資金を算出する方法をお伝えしました。「なんとかなる!」と感じた方もいれば、「全く準備できそうにない…」そんな風に感じた方もいるかと思います。もし、老後資金の準備が間に合わなそうな場合はどのような対策を考えれば良いのでしょうか?今回はファイナンシャルプランナーの平原 直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、「老後も働き続ける際のお金の注意点」について解説いたします。
■老後の資金準備に向けてすることは?
まず考えるべきことは、定年後にも収入を持つことです。株式の配当や不動産収入などの不労所得であることが望ましいですが、老後資金が足りないという前提であれば、これは現実的ではありませんね。その場合、年金だけで生活できないのであれば、老後も働いて所得を得るという手段が現実的な選択肢になると思います。勤務先で雇用延長ができるようであれば、うまく活用すると良いでしょう。雇用を延長してもらった場合は、収入自体は現職の頃よりダウンすることが一般的ですが、年金+αの収入という考え方であれば、月に10万円でも収入があれば生活的には随分違いますよね。
さて、年金をもらいながら仕事をする場合、注意が必要な点があります。それは年金+収入が一定額を超えると年金がカットされるという点です。
■年金がカットされる条件とは?
受け取っている年金額と収入の月額(別途賞与がある場合は、賞与を12で割った額を加算)を足してみてください。この金額次第では、年金がカットとなる可能性があります。「年金だけでは生活が厳しいから…」という理由で仕事を継続したのに、年金が減らされてしまうのは困りますよね。年金がカットされるか否かをチェックする際には、まずは受け取り年金額(年額)を12で割って、年金の基本月額を算出します。年金額が180万円/年の方であれば、基本月額は180万円÷12か月=15万円/月ということですね。
この基本月額に、毎月の月収を加算した額をチェックすることになります。実際のバーは65歳を境に異なりますので、次でみてみましょう。
<60歳以上65歳未満の場合>
年金は基本的に65歳から満額受給となります。そのため、繰り上げ受給を希望しない限り65歳前に年金を受給することはありません。ただし、男性は、昭和36年4月1日、女性は、昭和41年4月1日以前に生まれた方は、生まれた年に応じて厚生年金部分のみ特別支給として段階的に受け取る場合があります。この場合、年金の基本月額と収入が28万円を超えているのか?否か?がひとつのバーとなります。
つまり、前述の年金の基本月額15万円の方の場合は、収入は13万円までかどうかで変わってくるということですね。基本月額と収入の合計が28万円以下の場合は、年金のカットはなく、全額支給されます。では、基本月額と収入の合計が28万円を超えた場合は、どうなるのでしょうか?基本的には、28万円を超えた部分に関しては、半分がカットされます。例えば、前述の年金の基本月額が15万円の方で収入が20万円あったとします。この場合、本来は収入の20万円に年金の基本月額15万円を足した35万円で生活をするわけですね。
 
しかし、28万円をバーとすると35万円 - 28万円 = 7万円分超過します。この超過した7万円 × 1/2 = 3.5万円がカットされることになります。具体的には、支給される年金額が、15万円 - 3.5万円 = 11.5万円/月になるということですね。その結果、収入の20万円に年金の11.5万円を足した、31.5万円/月で生活をすることになります。繰り返しになりますが、年金をカットされないバーは年金の基本月額と収入の合算が28万円以下の場合です。言い換えると、バーを越えない範囲で働いた場合は、月の生活費に回せるお金は28万円が上限ということです。バーを越えても年金が全額カットされるわけではないため、その分生活費に回せるお金が多くなります。結果その分豊かな老後を過ごせるわけなので、必ずしも28万円のバーを越えたら絶対的に損ということではありません。
しかしながら、ある程度は意識しておいた方が良いバーと言えるでしょう。なお、年金の基本月額と収入の合算が47万円を超える場合や、年金の基本月額だけで28万円を超える場合は、カット額を算出する計算式が異なります。詳しくは、日本年金機構のページでご確認ください。
<65歳以上の場合>
65歳を超えるとバーが28万円 ⇒ 47万円に上がります。つまり、年金の基本月額と収入の合計が47万円を超えなければカットされないということです。47万円を超えた部分は、同様に半分カットされることになります。
65歳以降も勤務先などからある程度収入があって、年金月額との合算が47万円を超えてしまうことが予想される場合は、あえて年金を受け取らず繰り下げ受給することも検討しましょう。繰り下げ受給をすると、1か月あたり年金額が0.7%割り増しされます。カットされてしまうようであれば、あえて受け取らずに(繰り下げ受給して)年金額自体を増やすということですね。
いかがでしたでしょうか?定年後の働き方に関して気になっている方は、一度老後の必要額と合わせてファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみてはいかがでしょうか?
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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