老後に必要なお金はどう計算すればいいの??

2019.05.17 (更新日:2019.05.20)
企業によっては、50歳の節目などにセカンドライフを意識したライフプラン研修を行うことがあります。私も講師を依頼されることありますが、その際に必ず行うのが老後まで貯えておく必要があるお金の算出です。楽しいセカンドライフを送るために、しっかりと準備をしておきたいものですよね。今回はファイナンシャルプランナーの平原 直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が「老後に必要なお金の計算方法」について解説いたします。
■まずは老後に必要となるお金を考えてみよう
老後までに準備しておくべき額を計算する前に、事前準備として以下3つのことを考えてみましょう。
①老後の期間を決定する
退職タイミングと何歳まで生きるのか?から算出することが可能です。
たとえば60歳で退職、90歳まで生きるとしたら、30年間となりますね。
②老後に必要な生活費月額を決定する
老後を過ごしていくのに必要になる生活費です。
この金額次第で大きく必要な老後資金は異なりますが、個人的には、
老後期間中、最低限の生活費でずっと生活するのはむずかしいと考えます。
③老後の住宅費を確認する
現役時代に住宅購入をした場合、一見、住宅費用とは無縁のように感じてしまいますが、実際には住宅の修繕やリフォームが発生するため、リフォーム費用が必要となります。
さらに、住宅ローンが退職時にも残っている方は、その残債も追加する必要があります。また、賃貸にお住まいの方は、老後に掛かる家賃を生活費に加算します。
その他に、車や家電の買い替え、介護や大病した場合の資金や子供の結婚式などへの援助や葬儀代などが必要となりますが、概算額を算出する場合は、上記の①~③で老後にかかるお金の総額が出てきますね。
■老後までに準備しておくべき金額を計算してみよう
老後までに準備しておくべき額は、以下の数式で算出することが可能です。まずは、老後に係るお金の総額を概算で出してみましょう。
前述の条件をもとに、①~③を以下の前提とした場合、
①退職時期:60歳、寿命を90歳と設定
⇒必要な老後期間30年(90歳-60歳)
②老後の必要な生活費月額:30万円/月
③60歳時点のローン残債:1,200万円+リフォーム費用:300万円=1,500万円
30年(360か月)×30万円 + 1,500万円 = 1億2,300万
なんと、1億円を超える金額が必要となることがわかりました。
「こんな金額準備できない…」と心配になった方もいるかと思いますが、この額を全額準備する必要があるわけではありません。この金額から引くことができるものがあります。
■老後に必要となるお金から差し引けるものとは?
①退職金
ご勤務先に退職金制度がある場合は、その額を老後の必要額から差し引くことが可能です。
②年金
老後の頼りとなるのが年金です。公的年金は生きている限り受給できるので、現在のような長寿社会では非常にありがたい制度と言えますね。
この2つの額を足したものを、前述の老後に必要となるお金から差し引くことができます。
しかしながら、多くの方がこの部分で手が止まってしまいます。
と言うのは、将来自身が受け取る退職金や公的年金の額を知らないためです。
「概算額ですら想像もつかない…」そんな方も少なくありません。
もちろん、退職金も年金も先々の将来のことであるため、詳細な金額までは誰もわかりません。
しかながら、概算額は把握しておく必要がありますよね。特に最近では、退職金制度が企業型確定拠出年金制度(DC)に移管している企業が増えています。DCはご自身で退職金づくりをする制度なので、当然皆さんそれぞれで受取り額が異なります。同じ職場の方に聞いてみても参考にならないわけですね。
こちらのコラムもおすすめ!
企業型確定拠出年金制度(DC)は前払い?積立て?どっちがいいの??
年金に関してはどうでしょうか?
国民年金は、しっかり納付していれば誰でも受給額は変わりません。ただし、厚生年金部分は報酬比例という仕組みになっています。
現職時代に収入が多い方は現職時代に多く支払って、その分老後に多くもらうことができます。つまり、厚生年金部分に関してはご自身で計算してみる必要があります。
なお、50代になると年金定期便で将来もらえるであろう年金額を知ることができます。50代の方は必ず年金定期便をチェックするようにしてくださいね。
こちらのコラムもおすすめ!
夫婦共働きの私たち。将来受け取れる年金の満額はどれくらい?
■結局、老後資金っていくら必要なの?
では、実際に老後に必要になる金額を計算してみましょう。そのためには、前述で述べた退職金と年金の概算金額が必要となります。
ご自身で受取れる年金の金額計算が難しい場合は、社労士やファイナンシャルプランナー(FP)に将来の年金見込み額を計算してもらってもよいでしょう。
なお、厚生労働省が平成30年12月に発表した「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在厚生年金を受給している方の平均額は、約14.7万円/月程度の様です。配偶者が扶養の範囲で働いていたとすると、ご夫婦で、22万円/月程度であることが予想されます。
仮に、退職金が1,000万円、夫婦でもらえる年金額が22万円/月だったとします。
90歳までご存命だとすると、
22万円 × 30年(360か月)+1,000万円 = 8,920万円
上記だとすると、
前述の1憶2,300万円から、8,920万円を引いた額 = 3,380万円が
ご自身で用意するべき金額であることがわかります。
週刊誌などで「老後に3,000万円が必要」と言われていますが、それなりに妥当な金額なのかもしれませんね。
「まだ老後のための貯蓄を始めていない…」という方は、定年までの残期間で割ってみましょう。毎月準備しないといけない金額の目安がわかります。
仮に定年まで10年という方であれば、
3,380万円÷10年(120か月)=28.1万円/月を準備する必要があるということですね。
「そんなに老後資金を準備できない…」そのような場合は、働く期間を延ばし収入を得ながら準備していくことが、現実的な選択肢になるでしょう。
いかがでしたでしょうか?老後に必要な金額について計算することで、今何をすべきかが見えてくるかと思います。次回は、「老後も働き続ける際のお金の注意点について解説します。
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
  • この記事が参考になったら
    いいね! してね