家族信託を組む場合の流れとは?費用はかかるの?

2018.12.10
認知症を発症した場合に備えて、家族など信頼している人にご自身の財産管理を任せることのできる「家族信託」が注目されています。今回はファイナンシャルプランナーで家族信託コーディネーターの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が、家族信託を組む際の流れと費用について解説いたします。
■家族信託の流れ
家族信託は、契約書を作成後、すぐにスタートさせることが可能な制度です。過去のコラム「認知症の財産管理に備えた「家族信託」ってどんなもの?」でお伝えした、任せる財産に制限がない点やスピード感などが家族信託の使い勝手の良さといえそうですね。
それでは、実際に家族信託を組む場合、どのような手順で進めていくのかを確認していきましょう。
1.専門家の選定
家族信託は、家族間での契約なので、専門家(司法書士や弁護士、家族信託コーディネーターなど)を介さず当事者同士で導入することが可能です。とはいえ、きちんとしたプランを作成するためには専門家が不可欠です。また、家族間での争いを避けるためにも、実質的な船頭は第三者に任せたほうが良いといえます。こうしたことから、家族信託を導入する場合は実務的に精通している専門家をうまく活用するようにしましょう。
2.家族会議の開催
家族信託は、委託者と受託者だけで話を進めればいいわけではありません。委託者が亡くなった後の相続とも関係してくる問題ですので、相続人となる家族が集まって、委託者の思いを家族間で共有するための家族会議をすることが重要です。この際、依頼した専門家にも参加してもらい議事進行を任せるとスムーズでしょう。
3.信託内容の決定
何を信託財産にするのか?や受託者への約束事など、信託内容を決定します。この際、受託者への監視機能を持たせるために監督人を付けることもできます。そして、決定した信託内容はご家族全員で共有しておくようにしましょう。家族信託には遺言としての機能もあるため、内容によっては委託者である親の亡き後、家族間の揉めごとにつながる可能性もありますからね。
4.公正証書の作成
重要な契約となるため、決定した信託内容を記した「信託契約公正証書」を作成してもらいます。公正証書とは公証役場で作成する書類のことで、公証人と呼ばれる元裁判官や元判事などの法律の専門家が立会いの下、書類を作成します。原本は公証役場に保管されるため、改ざんなどのリスクもなく、非常に信用度が高い書類といえます。
専門家の選定~公正証書の作成までにかかる期間は、家族会議が円滑に進むかどうか?で大きく異なります。話し合いがうまく進まず、何度も集まる場を設けるなどすれば当然その分時間がかかりますが、家族会議が順調に進めばおおむね1~2ヵ月程度で作成できるようです。
■家族信託で発生する費用
司法書士などの専門家にお願いするか否かで当然変わってきますが、通常は信託財産の1%程度になることが多いようです。また、それとは別に、公正役場で公正証書を作成するのに実費(公正証書作成の基本手数料)が必要となります。公正証書作成の基本手数料は、信託財産価額によって異なります。詳しくは、以下でご確認ください。
なお、信託財産に不動産が含まれる場合は、上記の他に不動産登記料(土地:固定資産税評価額×0.3%、建物:固定資産税評価額×0.4%)と司法書士への登記報酬が必要となります。登記報酬は司法書士ごとに異なりますが、前述の専門家報酬や公正証書の基本手数料と合わせて、信託財産額の1.5~2%程度と考えておくと良いでしょう。
【公正証書作成の基本手数料】
信託財産価額手数料
100万円以下5,000円
100万円超~200万円以下7,000円
200万円超~500万円以下11,000円
500万円超~1,000万円以下17,000円
1,000万円超~3,000万円以下23,000円
3,000万円超~5,000万円以下29,000円
5,000万円超~1億円以下43,000円
1億円超~3億円以下43,000円+5,000万円毎に13,000円を加算
3億円超~5億円以下95,000円+5,000万円毎に11,000円を加算
一見すると、数十万円~100万円強の費用がかかることが予想されるため、高いように感じるかもしれませんが、家族信託の場合、基本的には家族信託導入時のみ費用が発生します。というのも、運営をしていくのが家族となるため、実際の運営時にコストがかからないからです。また、いざ認知症になって資産が凍結しまった後のことを考えると、決して高すぎるとはいえないのかもしれませんね。
※監督人を付けた場合は、別途監督人への報酬が必要になるケースもあります。
■もう一つの認知症の財産管理「成年後見制度」とは?
最後に、認知症に備えた財産管理の制度である「成年後見制度」について簡単に触れたいと思います。成年後見制度は、認知症を発症した方が利用する「法定後見制度」と、意思判断能力があるうちに認知症に備えておく「任意後見制度」の2つがあります。
また、認知症の財産管理対策とはいえども家族信託とは少し意味合いが異なり、成年後見制度の場合は“認知症患者の財産を減らさない”という意味での財産管理が基本的な考え方となります。そのため、制度を利用する目的によって成年後見制度のほうが良いのか、家族信託のほうが良いのかが異なってくるというわけです。詳しくは、以下コラムでご確認くださいね。
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認知症を発症した人の財産を守る!「法定後見制度」ってどんな制度?
認知症になる前の財産管理対策!「任意後見制度」ってどんな制度?
いかがでしたでしょうか?高齢化が進むにつれて、ますます認知症による財産管理のリスクは高まっています。成年後見制度を含めさまざまな制度がありますので、まずはご家族間で話し合ってみることが重要です。どこに相談すれば良いかお悩みの方は一度ご相談ください。
◎財産管理に関するご相談はこちら
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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