知っておきたい!成年後見制度における3つの注意点とは?

2018.11.12
認知症を発症した場合の財産管理の対策として注目を浴びている「成年後見制度」。申立人・後見人・被後見人のいずれの立場であっても考えておくべき、いくつかの注意点があります。今回は、成年後見制度の注意点について、ファイナンシャルプランナーの平原直樹(所属:ブロードマインド株式会社)が解説いたします。
■成年後見制度の3つの注意点とは
成年後見制度は認知症に備えた良い制度ではありますが、以下3つの注意するべき点があります。
【1】費用がかかる
過去コラム「認知症を発症した人の財産を守る!「法定後見制度」ってどんな制度?」でもお伝えした通り、法定後見の場合、申立人を含めて必ずしも親族がなれるとは限りません。そのため、家庭裁判所により後見人として第三者が指名された場合、後見期間中は報酬が発生することになります。そして、基本的には被後見人が亡くなるまで後見期間が続きますので、被後見人が長生きした場合、報酬の負担が大きくなるリスクがあります。
一方、任意後見はどうでしょうか?過去コラム「認知症になる前の財産管理対策!「任意後見制度」ってどんな制度?」でもお伝えした通り、後見人を親族などに指名することができますし、報酬も自由に設定できます。そのため、法定後見とは異なり、報酬を0にすることも可能です。しかしながら、任意後見の場合は必ず後見監督人が選任されることになります。そして、この後見監督人への報酬が必要となるので、法定後見と同様に後見期間次第では、報酬が大きな負担になる恐れがあります。
【2】相続税対策や資産運用が難しくなる
後見制度の大きな目的は、被後見人の「財産管理」と「身上監護」です。ここでいう「財産管理」とは、具体的には“なるべく被後見人の財産を減らさないように管理していくこと”が基本方針になります。そのため、たとえば投資商品のように価格変動リスクがある財産などを保有していた場合、後見制度で扱うには適していないため、原則として現金化されてしまうのです。
また、子どもへの生前贈与など、相続税対策を行うのも難しくなります。というのも、被後見人から見ると財産が目減りすることになりますよね。結果、後見制度の考え方とは異なってしまうため、被後見人の財産管理としては認められないというわけです。
なお、投資用不動産を持っているケースなども注意が必要です。借り手から見て魅力的な物件とは、必ずしも立地だけではありません。水回りの設備などがしっかりしていることや、外壁などの見た目も一つのポイントとなりますよね。そのため、こうした内装や外装には定期的なメンテナンスが必要となりますが、これらの費用を支払うことは被後見人の財産を減らすことになります。よって、こうしたメンテナンス費用を拠出することは後見制度においては難しく、仮に後見期間が長引いてしまった場合などは建物そのものの建て替えが必要になる可能性もあります。
さらに、被後見人の遺産分割協議への参加という点も後々トラブルになるかも知れません。被後見人の財産保持という観点から、被後見人に意思判断能力があれば放棄していたかもしれない相続財産も基本的には放棄しません。そのため、不要な争族につながるリスクもありそうですね。
【3】後見人は家庭裁判所の管理下に置かれる
後見人の任命権は家庭裁判所にあるため、後見人は家庭裁判所の管理下に置かれることになります。よって、後見の活動を定期的に家庭裁判所へ報告する必要があります。これは任意後見であっても同様で、家庭裁判所に指名された後見監督人へ行動を報告する必要があるので、やはり家庭裁判所の管理下にあるといえるでしょう。
前述の通り、後見における財産管理は“被後見人の財産を減らさないこと”に主眼が置かれます。それを踏まえて、たとえば「(被後見人が)孫にお小遣いをあげる」場合を考えてみましょう。祖父母(被後見人)が孫にお小遣いをあげること自体は別に珍しいことではありませんよね。しかし、被後見人の財産という観点で考えると、お小遣いをあげることで被後見人の財産が減少することになってしまいます。そのため、こうした一つ一つが家庭裁判所の管理下に置かれることになり、ちょっとしたことに思える内容であっても報告が必要になるのです。仮に実の親であっても、事あるごとに家庭裁判所への報告が必要となると、後見制度が煩わしく感じる方も少なくないのではないでしょうか。
また、法定後見において、家庭裁判所によって選出された後見人と家族との相性が悪かった場合のリスクも考えておく必要があります。前述の通り、後見は被後見人の意思判断能力が戻るか、被後見人が死亡するまで終わらないため、自分の親の財産を相性が悪い人に任せるとなると家族にとって大きなストレスになることが予想されますね。
いかがでしたでしょうか?このように、認知症になってしまった場合の対策として検討するべき後見制度ですが、予期せぬトラブルを生む可能性もあります。これまでSodan[ソダン]の中で成年後見制度について取りあげてきましたが、意思判断能力があるうちにしておくべき手段として「家族信託」も注目を浴びています。家族信託については別途解説したいと思いますが、まずは意思判断能力がしっかりしているうちに財産をどうしていくのか?を家族で話し合っておくことが大切ですね。
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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