確定拠出年金制度が改正。変更点をおさえておこう!

2018.11.19
退職後の生活のための資産形成手段として、最も有効な手段のひとつである確定拠出年金ですが、2017年より加入対象者が広がり関心が高まりつつあります。さて、そんな確定拠出年金ですが、2018年5月に制度改正されたのをご存知でしょうか?今回はファイナンシャルプランナーの坂本卓也(所属:ブロードマインド株式会社)が、確定拠出年金制度の改正における変更点を解説いたします。
■そもそも確定拠出年金とは?
ニュースなどで聞いたことはあるものの、実際のところ何だかよくわからない・・・という方も多いのではないでしょうか?そんな方のために、確定拠出年金について簡単におさらいしたいと思います。
会社員や公務員の方の退職金制度として、従来は「確定給付企業年金(DB)」を導入している企業が一般的でした。そのため、勤続年数や収入によって退職時の退職金額が決まっていました。従業員の立場で見れば、退職金の金額は確定されているほうが退職後の生活の目途も立てやすいので安心ですよね。一方で、企業の立場から見ると、運用基金へのコストや運用が失敗してしまった時の損失を穴埋めしなければならないリスクが存在します。そのため、中小企業の中には退職金制度のない企業も多数存在します。
そこで、企業にとって導入しやすい退職金制度として注目されつつあるのが「確定拠出年金(DC)」です。企業で導入されている確定拠出年金を企業型確定拠出年金といいますが、会社が毎月一定金額を従業員の退職金として積み立て、その運用先を従業員自らが選択し、自身の退職金を運用していくというものになります。企業の立場で見れば、導入コストが前述の確定給付年金に比べて非常に安く、なおかつ運用は従業員に任せることができるので、運用に失敗した時の損失リスクがないといったメリットがあるわけですね。
なお、企業型に対して、個人型確定拠出年金(通称iDeCo)もあります。こちらは、制度自体はもともとあったものの、2017年1月の制度改正により対象者が拡大され、自営業の方やお勤め先に退職金制度がない方でも拠出することができるようになりました。
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■2018年5月の制度改正、その変更点とは?
それでは、2018年5月の制度改正ではどのような変更が行われたのでしょうか?
大きな変更点としては、以下4点が挙げられます。
①運営管理機関が設定しなければならない運用商品
【変更前】3本以上、うち1本は元本確保型

【変更後】リスク・リターンの異なる3本以上35本以下
②デフォルト(初期設定)商品
【変更前】企業型・個人型ともに、運営管理機関があらかじめ選定(大半は元本保証型)

【変更後】企業型…加入者の属性、労使協議の結果などを元に運営管理機関が選定
     個人型…運営管理機関が選定し、国民年金基金連合会のサイトで公表
③年金資産の持ち運び(ポータビリティ)
【変更前】確定拠出年金(DC)から確定給付年金(DB)へは不可

【変更後】個人型・企業型ともに確定給付年金(DB)への移換が可能
④企業型確定拠出年金の移換
【変更前】退職から6ヵ月以内に加入者自身で転職先や個人型の確定拠出年金へ移換しなければ、国民年金基金連合会へ自動移換。その後は、何も運用されずに毎年管理手数料だけ取られることになる。

【変更後】退職から移換手続きを行わないまま6ヵ月が経過した場合に、国民年金基金連合会へ自動移換されることに変わりはないが、その後別の確定拠出年金(個人型・企業型)の加入者となった際には、本人の申し出による手続きがなくとも当該企業型・個人型確定拠出年金への移換処理が行われる。
上記の通り、運用商品の選定や移換手続きなど、すべてが確定拠出年金の利点を活かせるように改正されていますが、特に注目したい改正点が③と④です。雇用が流動的で新卒から定年まで同じ会社で働き続ける人が少なくなり、転職が当たり前になっている昨今、退職金を転職先でも引き継げるという点は制度改正の大きなポイントといえます。
さて、次では退職金を移換できることの重要性について考えてみたいと思います。
■退職金を移換できることの重要性とは?
退職金というと退職時に一時金で受け取るイメージが強いですが、確定拠出「年金」、確定給付「年金」とあるように、実は年金で受け取ることもできます。老齢年金だけでは退職後の生活をカバーできないことを考えると、公的年金の上乗せとして私的年金での老後資産形成が必要といえます。
そんな中、転職が珍しくない昨今、転職のたびに退職金を「脱退一時金」として受け取り、その資産を他の年金に移換しなかったら・・・ご家庭ごとのライフプランによって、数十万円、数百万円という大きなお金を必要とするタイミングが当然あるでしょうから、定年を迎える前に受け取った退職金を教育費や住宅ローンの返済、車の購入費用などに充てる方も多くいらっしゃるかと思います。
しかし、目の前の大きな支出のために、本来老後のために残しておくべき資産を使ってしまうと、退職時に十分な資産を構築することができません。そのため、特に退職金などのような老後の貯蓄に関しては、途中で引き出せるものではなく強制的に積み立てられるものであり、仮に転職をした際にもこれまで積み立てたものを移換できるものが望ましいというわけですね。
いかがでしたでしょうか?今回の制度改正で、企業型・個人型確定拠出年金から確定給付年金への移換が可能になったおかげで、転職先に確定拠出年金制度がなくても退職金を移換できるようになりました。もちろん、転職先に確定拠出年金制度がなければ個人型確定拠出年金に移換すれば良いという考え方もありますが、転職してすぐは給与が少なく、個人型確定拠出年金に積み立てる余裕がない可能性もあります。そんな中、転職先に確定給付年金制度があれば、これまでの資産を転職先の退職金に充当できるので安心ですよね。
また、転職前の職場が確定給付年金であった場合も、まとまった資金がどうしても必要というわけでなければ、脱退一時金として受け取るのではなく転職先の退職金制度に移換することが望ましいです。確定給付年金からの移換であれば、確定給付年金にも企業型や個人型の確定拠出年金にも移換することが可能です。年金資金の不安があるなか、ご自身の年金としてしっかりと積み立てができるよう、転職する際には退職金の移換手続きも忘れずに行いましょう。
なお、Sodan[ソダン]では確定拠出年金の始め方から運用に関する相談まで無料で承っておりますので、「どうやって運用したら良いのかな?」「そもそも投資の考え方から教わりたい!」という方は、ぜひ対面相談サービスをご利用くださいね。
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ブロードマインド株式会社
執筆者:坂本 卓也
新婚世帯や子育て世帯へ向けたマネーセミナー講師として活動。社会保障や金融商品、ニュースでよく聞く言葉など、皆さまの疑問を解決し、生活に役立てていただけるような情報を発信します。

■保有資格
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン

■実績
マネーセミナー:年間50回以上開催
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