年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」はどう考えると良い?

2018.07.06
60歳間近の50代ともなると、老後のお金について本格的に考え始める方も少なくないですよね。老後の生活の大きな柱といえば「年金」ですが・・・いつから受給できるのか、みなさん正しく理解できていますか?そんな今回は、年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」について、どのように考えると良いのかお伝えいたします。
■そもそも、年金は何歳から受給することができるの?
「年金=65歳から」というイメージがあるかもしれませんが、以下の図の通り、一部の方々は65歳になるより前に年金が支給されます。これを特別支給部分と呼びますが、厚生年金部分が該当し、生まれた年によって老齢年金の一部分(厚生年金部分)を65歳より前に受け取ることが可能というわけですね。そのため、そもそも厚生年金の受給資格がない方は、65歳から年金受給がスタートします。
男女で受給開始年齢に差がありますが、公務員の場合はその限りではなく、上図の男性側に合わせることになります。つまり、同い年の女性であっても、公務員なのか会社員なのかで年金の受給開始時期が異なるというわけですね。
■年金の「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」とは
前述の通り、65歳よりも前に受給できるのは特別支給部分のみであって、満額受給できるのは65歳からに変わりありません。また、男性では昭和63年4月2日以降、女性では昭和41年4月2日以降に生まれた方の場合は、そもそも特別支給部分がありません。
そうは言っても、定年などの関係で、65歳よりも前に給付を受けたいという方もいらっしゃいますよね。そんな方は、早めに老齢年金を受け取ることができる「繰り上げ受給」を選択することが可能です。一方、定年後も働く方などは、年金の受け取りを先延ばしする「繰り下げ受給」を選択することも可能です。また、繰り上げと繰り下げのいずれも、それぞれ1ヵ月単位で選択することができます。では、以下でそれぞれの特徴をみていきましょう。
【繰り上げ受給とは】
前述の通り、65歳よりも前に年金をもらうことができるので、一見すると良い制度であるように思えますが注意が必要です。というのも、通常よりも早くもらえる分、もらえる年金額が減ってしまうからです。具体的には、1ヵ月受給開始時期を早めるごとに年金額が0.5%減ることになります。そのため、最も早く年金を受け取れる60歳まで繰り上げたとすると、0.5%×12ヵ月×5年⇒30%の減額になるというわけですね。
【繰り下げ受給とは】
一方、65歳よりも後に受け取りを遅らせた場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、逆にもらえる年金額が増えることになります。具体的には、1ヵ月遅らせるごとに0.7%増額します。受け取り開始年齢を最も遅い70歳まで繰り下げたとすると、0.7%×12ヵ月×5年⇒42%の増額となります。繰り上げるよりも繰り下げるほうが変動額が大きいのは、遅くなればなるほど、年金を受け取れなくなるリスクが高まることを考えれば当然かもしれませんね。
■「繰り上げ受給」と「繰り下げ受給」、どちらのほうが得なの?
筆者がセカンドライフの相談をいただく際に多いのが、「繰り上げ受給と繰り下げ受給、どちらのほうが得なのか?」という質問。では、以下でみていきたいと思います。
正直なところ、どちらのほうが得なのか?はご自身の寿命次第というのが答えです。仮に、年金受給額が100万円の方がいたとします。60歳からの繰り上げ受給を選択した場合、年金額は30%カットされるので70万円ですよね。一方、通常通り100万円を65歳から受給し始めた場合と比較すると、当初は早く受け取りを開始している分、60歳から繰り上げ受給しているほうが得です。しかし、77歳になると、以下の通り状況が逆転し始めます。
【77歳時点での受給総額】
・60歳から繰り上げ受給した場合:1,190万円
・65歳から受給した場合:1,200万円
一方、70歳まで受給開始時期を繰り下げた場合、年金額は42%アップするため142万円となりますよね。では、先ほどと同様に、100万円を65歳から受給する場合と比較してみましょう。この場合は、82歳になると、以下の通り状況が逆転し始めます。
【82歳時点での受給総額】
・65歳から受け取った場合:1,700万円
・70歳まで繰り下げ受給した場合:1,704万円
以上のことから、ご自身が何歳まで生きるのか?で、繰り上げたほうが得なのか?繰り下げたほうが得なのか?が変わってくるというわけですね。一般的な女性の寿命で考えると、82歳以上まで生きられる方のほうが多いので、繰り下げ受給を選択したほうが得かもしれませんね。
とはいえ上記の例でいうと、繰り下げ受給を選ぶということは、70歳まで年金がもらえないということです。そのため、「老後、無収入となる期間を年金なしで過ごしていけるだけの貯蓄がある」または「年金以外の収入がある」のいずれかでないと、繰り下げ受給を選ぶのは現実的ではないといえるでしょう。
「得だから!」と安易に繰り下げ受給を選ぶのではなく、どんな老後を送りたいのか?や老後資金はどれくらいあるのか?などをきちんと考慮したうえで、ご自身にはどちらが良いのか?をシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
ブロードマインド株式会社
執筆者:平原 直樹
財産形成や退職金運用といったお金の殖やし方を多くの方に伝えるべく、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。最近では、高齢者の財産管理手法として、家族信託を広めるべく活動中。

■保有資格
・IFA(証券外務員一種)
・TLC(生命保険協会認定FP)
・2級FP技能士
・家族信託コーディネーター
・旅行業務取扱主任者

■得意分野
資産運用、ライフプラン、保険全般、住宅ローン、相続、家族信託

■実績
マネーセミナー:年間100回以上開催
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