介護による退職。その場合、失業保険はもらえる?

2015.12.30 32614view
現在、85歳以上の方の約6割は介護が必要となっているそうです。たしかに近年、介護の問題は、メディアでもよく取り上げられていますよね。働きながら介護をしようとすると、体力的にも精神的にも疲弊してしまい、退職しなければ介護を続けられないという方も少なくありません。

もし、介護によって退職することになった場合、失業保険はもらえるのでしょうか?
■介護を理由にした退職の場合、失業保険は受給される?
結論からいうと、受給することができます。
みなさんは、自己都合なのか?会社都合なのか?によって、失業保険の内容が異なるということを耳にしたことはありませんか?

失業保険において、失業者は「自己都合による失業者」と「会社の倒産など特定の理由による失業者(特定受給資格者)」の大きく2つに分類されています。そして、自己都合による失業者と比較すると、特定受給資格者の給付内容は手厚いものとなっています。
■介護を理由にした退職は、自己都合による失業者になる?
では、介護による退職の場合はどちらに分類されるのでしょうか?

介護による退職は、自己都合での退職とみなされますが、「特定理由離職者」という特別な扱いとなります。(ちなみに、「特定理由離職者」には、配偶者の転勤や結婚など介護以外の項目も存在します。ライフイベントによって退職をされた方は、該当する可能性があるので
チェックしてみましょう)そして、「特定理由離職者」と認定された場合、失業保険の給付内容は「特定受給資格者」に近く、通常の自己都合退職と比較して手厚い内容になっています。
■失業保険の受給資格
失業保険の受給資格は、原則雇用保険に1年以上加入した場合に付与されます。そのため、入社後まもなくして退職した場合は、受給資格が付与されないことになります。ただし、特定理由離職の場合は、1年以上から6ヶ月以上へ短縮されます。

どれだけ続くか不透明な介護。給付期間はどれくらいなのか、非常に気になりますよね。では、失業保険の給付期間はどれくらいなのでしょうか?次でみていきましょう。
■失業保険の給付期間(特定受給資格者及び特定利用離職者の場合)
 【特定受給資格者及び特定利用離職者】
雇用保険の被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
所定給付日数
(30歳未満)
90日90日120日180日
所定給付日数
(30歳以上35歳未満)
180日210日240日
所定給付日数
(35歳以上45歳未満)
240日270日
所定給付日数
(45歳以上60歳未満) 
180日240日270日330日
所定給付日数
(60歳以上65歳未満)
180日210日240日

【自己都合】
雇用保険の被保険者期間1年未満1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
所定給付日数(全年齢)なし90日120日150日

上記の通り、退職するまでの被保険者期間により異なり、失業保険には給付期間に制限が設けられています。どれだけ続くかわからない介護に対して、最大でも330日と1年にも満たない給付期間ですから、失業保険だけで完璧にカバーというのは難しそうですね。認識として持っておいて頂きたいことは、「失業保険は無限に続くわけではない!」ということ。失業保険の給付を受けている間に、将来の方向性(介護と仕事を両立できる転職先を見つける、最後までしっかり介護を続けるなど)をしっかりと考えていきましょう!
■失業保険の給付金額
続いて、いくらくらい給付が受けられるのか?もみていきましょう。

これは、収入により異なるため一概にいくらと申し上げることはできませんが、基本的には給与の50%~80%(ボーナスは除く)の給付となります。なお、賃金が低い人ほど高い率が選択されるようになっています。

高齢化が加速している日本では、親の介護のために退職するという声を日々の相談の中でもよく聞きます。今まで育ててもらった恩があるから、今の会社を辞めて在宅介護を支えしたいというお気持ちは非常に共感します。そんな場合にも、失業保険がしっかり補てんしてくれるというのは非常にありがたいですよね。
■介護で休職した場合の給付金がある!?
介護で休職した場合にも給付金が受けられます。介護休業制度というもので、雇用保険から介護休業給付金が給付されます。介護休業給付金の受給資格は、1ヵ月ごとに20日以上の休業期間があり、休業後も会社に継続して雇用されることが決まっていることが条件となります。介護休業給付金の給付期間は、休業開始日から最長で93日間確保でき、金額は休業中に支払われる賃金により異なります。

・40%以下の場合:賃金月額の40%相当額を給付
・40%超80%未満の場合:賃金月額の80%相当額とその賃金の差額を給付
・80%以上の場合:給付されない
休職の場合にも、休職者をフォローしてくれる制度は存在しています。ただ退職にしても休職にしても、共通していることはフォローは無限に続くわけではないということです。やはり、どれだけ続くかわからない介護に対しては、長期的な視点を持って計画を立てることをおすすめします。介護と同時に、教育費がかさむ方もいれば住宅ローンが始まる方もいます。いつ生じるかわからないからこそ、介護の必要が出た時にはその時だけの判断ではなく、将来を見据えた上での決断をしていく必要が生じます。
■ファイナンシャルプランナーからアドバイス
みなさん、介護を理由にした退職の場合の失業保険についてはお分かり頂けましたか?親の介護で支出が増加し、貯蓄ができなかったり、転職により年収が下がってしまったり......というご相談を受けることがあります。やはり、介護による影響がライフプランに与える影響は小さくありません。ご自身の金銭が尽きてしまった場合は、お子さまなど家族に負担をかけることにもなってしまいます。今は、ご両親の介護が心配という方も、「将来は自分も介護を受ける」という視点を持って、長期的なマネープランを組むことをおすすめします。
ブロードマインド株式会社
第一種証券外務員を保有するお金のプロ!
難しいお金の話を分かりやすく解説します。
  • この記事が参考になったら
    いいね! してね
まわりにもシェアしよう!