会社員(サラリーマン)の節税対策!特定支出控除で税金が返ってくる!

2015.11.25 2303view
「会社員(サラリーマン)には節税なんて無縁」なんてあきらめていませんか?確かに、年末調整があるため確定申告は不要…という場合が多いのですが、実は会社勤めでも申告をすることで税金が戻ってくるケースが多々あります。
10万円以上の医療費が掛かった場合の「医療費控除」、住宅をローンで購入した方の「住宅ローン控除」、そしてふるさと納税でおなじみの「寄付金控除」といった各種控除が有名ですが、今回は意外と知られていない、…けど多くの方が利用できる『特定支出控除』について解説します。
■特定支出控除とは?
会社員(給与所得者)は、給与所得から税金を計算します。給与所得とは、年収から給与所得控除(いわゆる経費)を引いた金額で、その額(給与所得)に税率を掛けたものが税金になります。
給与所得=年収-給与所得控除額
自営業の場合は、商品の売上金額から仕入原価や販売経費など、必要経費を数多く差し引くことができますが、会社員の場合はそうはいかないですね。
そこで、必要経費の代わりに、給与所得控除が認められているのです。
通常、この給与所得の計算は会社の人事部が行います。しかし、会社で計算してもらった所得よりも控除額(経費)が多くなった場合、実際の給与所得が少なくなるので「税金を払い過ぎ」ということになり、手続をすることで税金が戻ってきます。その給与所得の計算を税務署に提出するのが「確定申告」となります。
給与所得控除の金額は下図の通り、年収によって変わります。
収入給与所得控除額
65万円未満一律で65万円
65万円以上180万円以下収入×40%
180万円を超え360万円以下収入×30%+18万円
360万円を超え660万円以下収入×20%+54万円
660万円を超え1,000万円以下収入×10%+120万円
1,000万円を超え1,500万円以下収入×5%+170万円
1,500万円を超える場合一律で245万円
この給与所得控除に「さらに上乗せ控除」を積み重ねることができる制度、それが「特定支出控除」です。
特定支出が上記の計算方法で計算した給与所得控除額の1/2を超える場合に、超えた金額に関して特定支出控除を受けることができます。平成24年度の法改正以前は、給与所得控除額の全額を超える必要があったため、控除を申請できる人がごく少数に限られていました。しかし、改正によって対象項目、対象者の範囲が広げられ、より使いやすい制度になりました。
*平成27年分の給与所得者が特定支出をした場合、その年の特定支出の額の合計額が、下の表の区分に応じそれぞれ「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超えるときは、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。
その年中の給与等の収入金額特定支出控除額の適用判定の基準となる金額
1,500万円以下その年中の給与所得控除額×1/2
1,500万円超125万円
特定支出控除=特定の支出-給与所得控除の2分の1
■スーツや交通費も対象!?特定支出控除の対象経費
それでは、特定支出に当てはまる支出とは、一体何があるでしょうか?
国税庁では下記の6項目を対象としています。
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1. 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2. 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
3. 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として、研修を受けるための支出(研修費)
4. 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
※弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。
5. 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
6. 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
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1の通勤費や2の転勤に伴う転居費、3の研修費や5の単身赴任者への帰宅旅費などを、会社が負担している場合は「対象外」となります。
4の「職務に直接必要な資格」は、改正前は自動車免許、簿記、英語検定などが対象で、弁護士や医師などの一定の資格は対象外でした。しかし改正後は、弁護士、医師、公認会計士、税理士なども特定支出に入れることが可能となりました。そのため、会社から補助をもらわず資格試験を受ける場合には、資格にかかわらず、特定支出になります。
6の(1)~(3)は改正後に加えられた項目で、(1)職務関連の本、雑誌、新聞、(2)制服、事務服、スーツや、アパレル関係で職務中に着用する自社ブランドの服の購入、(3)自腹の接待代、取引先へのお歳暮代なども含まれるようになりました。
【特定支出として認められないもの】
逆に特定支出として認められないものは、電子版の図書の購入費用は含まれますが、それを閲覧するためのパソコン等の購入費用は対象外です。「衣服費」については、勤務場所でスーツの着用が慣行とされているのであれば、その購入費は特定支出に該当しますが、特定の衣服の着用が求められておらず、私服を着用しているような場合には、その私服購入費は該当しません。また「交際費等」にあたるのは得意先に対する接待費用などで、職場の同僚との親睦会費用や同僚の慶弔のための支出などは含まれないこと、などが国税庁サイトに示されています。
■特定支出の計算方法
例えば、年収が500万円で、対象の経費(特定支出)が100万円ある会社員の場合、どれくらいの特定支出控除を受けられるでしょうか?
年収500万円の給与所得控除は、上の表から、500万円×20%+54万円=154万円。その2分の1となり77万円です。したがって特定支出控除は、100万円-77万円=23万円となります。
つまり23万円まで控除できる、という計算です。所得税率が10%だとすると、23万円×10%=23,000円税金が戻ってくる計算です。
*年収1,000万円の方が、資格取得等で対象経費が200万円となった場合は、1,000万円×5%+170万円=220万円。その2分の1となり110万円です。
その結果特定支出控除は、200万円-110万円=90万円となります。所得税率が20%だとすると、90万円×20%=18万円税金が戻ってくる計算です。
■特定支出控除の注意点
最後に、特定支出控除を受けるにはいくつかの条件があります。
まずは確定申告をすること。その際に(証拠となる)領収書の添付が必須となります。更に大事なのは、会社から「仕事で直接必要」という証明書を発行してもらう必要があります。つまり、副業や転職のための準備はNGです。
もちろん、会社から通勤定期や制服、引っ越し代などが支給されていれば、自分が支出したものではありませんので、特定支出にはなりません。大企業勤務というより、ベンチャー企業など伸び盛りの会社に勤め、仕事の経費を自分で捻出している方…というのが、良くあるケースです。正式に国が認めた権利なので、自分が当てはまるケースなのか?よく確認してくださいね。
会社員の確定申告は、皆さんが思うよりも簡単です。ネットでもできますし、税務署に行けば親切な税務署員さんが教えてくれます。

これまでの「知っている人は得をする」から、今は「知らない人は損をする」時代です。税務署から「控除漏れがありますよ♪」という連絡は絶対に来ませんので、皆さん自身が税金について確認しましょう!
ブロードマインド株式会社
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